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夢幻水滸伝
第五十六話 幸先よい勝利その一

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               第五十六話  幸先よい勝利
 綾乃が率いる軍勢は厩橋城を順調に攻めていた、あまりにも強い攻めで城の建物も石垣も崩していく。
 その状況を見てだ、綾乃は攻める大蛇の背から言った。
「後が大変やね」
「城の修繕がな」
「それがやな」
「そう思ったわ」
 こう大蛇に話した。
「今な」
「それはしゃあないわ」
「攻めるのは徹底的になのがわし等や」
 大蛇は口から次々に炎や吹雪、嵐や雷を放ちつつ綾乃に話した。
「口から吐くもんと巨体でな」
「しかもこっちは大砲まで使ってるんや」
「アームストロング砲な」
「砲撃までしてるんや」
「そやったらな」
 そこまですればというのだ。
「もう城もや」
「ボロボロになるわ」
「戦に勝つ為にはここまでせなあかん」
「相手は徹底的に攻めなな」
「それでやね、ほな城を手に入れたら」
 綾乃はその時のことも考えていた。
「まずは修繕やな」
「工兵を軸にしてな」
「そうしてこな」
「そしてそれが終わってからな」
「また進軍やな」
「そうしよな」
 こう大蛇に話した、そしてだった。
 城を攻めて城のあちこちを占領していった、東国の者達は空と陸からの攻めに押されるばかりだった。
 その状況を見てだった、宮子は遠藤に言った。丁度遠藤に薬を渡すところだったのだ。
「本丸まで迫られていますし」
「そろそろか」
「はい、退く時では」
「そうだな」
 遠藤は宮子の言葉に確かな声で頷いて応えた。
「もうな」
「充分戦いましたし」
「退くならばな」
「自然な状況です」
 勝敗は決し戦うだけ戦った、そうした状況だというのだ。
「ですから」
「そうだな、ではな」
「はい、それでは」
「退こう」
 遠藤は決めた、それで退く法螺貝の音を鳴らさせてだった、そのうえで。
 厩橋城から軍勢も自分達も退かさせた、その時宮子だけでなく宮沢も一緒だった。
 宮沢は退きつつ水破から矢を放つ、そうして敵を牽制しつつ兵達に言った。
「悔しいだが」
「それでもですね」
「この状況では仕方ないですね」
「ここまでやられては」
「それでは」
「そうだ、んだとも」
 東北訛りの言葉で兵達に話した。
「やり返す時はあるだ」
「そうですね、またその時はあります」
「そしてその時こそですね」
「今の借りを返す」
「この厩橋城でのそれを」
「そうするだ、では今は退くだ」
 こう言ってだ、そしてだった。
 彼は殿軍となって追おうとする関西の軍勢を退けつつ遠藤そして宮子と共に厩橋城から出た。かくして厩橋城は関西の軍勢の手に落ちたが。
 室生は城の本丸に入ってから鈴子に言った。
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