第二章
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「どんな娘かって思ってね」
「会いに来たの」
「お話をしに来たんだ」
「そうだったの」
「俺実は海辺の町はじめてなんだ」
少年は潮音に自分のことも話した。
「ずっとさ、群馬のど真ん中にいて」
「群馬県なの」
「海がない県だからね、それが親の転勤で」
「ここに来たの」
「だから山には詳しいけれど海はさっぱりなんだよ」
「海に興味あるの」
「あるよ、海には詳しいよね」
「ええ、海の傍にいないと生きていけないから」
それだけにとだ、潮音は少年に話した。
「信仰も持っているわ」
「そうなんだね」
「それで私からなの」
「海の話聞かせてくれるかな」
「いいわ」
「じゃあ俺も山のこと話すね」
自分は自分でとだ、少年は潮音に話した。そしてだった。
二人はお互いに海と山の話をしていった、そうした日々を過ごしているうちに。
潮音は山についてだ、こう言う様になっていた。
「山についてはこれまで」
「関係ないと思っていたんだ」
「海の傍にいるから」
だからだとだ、潮音は少年と高校の昼休みに図書室の中で話しながら答えた。
「だから」
「そうなんだ、けれどね」
「山も面白いっていうのね」
「そうだよ、この街にも海の傍に山があるわね」
「ええ、あるけれど」
「登ったことはないんだ」
「山は海と正反対だと思っているから」
そうした世界だからだと思っているからだとだ、潮音は少年に答えた。
「これまでは」
「そうなんだ、けれど海の傍の山なら大丈夫だよね」
「登っても」
「今度登ってみない?日曜にでも」
少年は潮音を笑顔で誘った。
「そうしない?」
「そこでも海の声が聞こえるのね」
「海の傍だからね」
「それだったら」
潮音は海の傍にあるならと思ってだ、少年の言葉に頷いた。そうしてその日曜日に二人で街の海の傍にある山に登った。
山は結構高く華奢な身体の潮音には辛かった、だが身体は不思議と疲れず。
昼には頂上まで登ることが出来た、それで頂上から青い海を見て言った。
「ここから見る海もね」
「奇麗だよね」
「ええ、声も聞こえるわ」
自分と共にいる少年にこうも答えた、二人の周りには緑の木々がありその下に青い海が銀の波と共に広がっている。
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