第三章
[8]前話
「錬金術は学んでいきだ」
「科学にも活かす」
「そうしていくんだな」
「その通り、ではこれからそちらの実験をする」
こう言って実際にだった、炎斗は錬金術も学んでいった。そうして今度は子供達に錬金術について教えることになったが。
今度は炎斗からだ、周囲に言った。
「今度は実験は行わない」
「そうして錬金術のことを話すんだな」
「そうしていくんだな」
「そうだ、その歴史や科学との関連性をだ」
そうしたことをというのだ。
「話していく」
「空想や創作のものでなくてか」
「現実のものとしてか」
「科学として話していくんだな」
「その通り、魔術にしても」
もう一つの幻想や創作の世界のものとされているものもというのだ。
「そうして話せるからな」
「魔術も科学か」
「その中にあるものか」
「そうだったのか」
「その通り、進歩した科学は魔術と変わらない」
炎斗はこの言葉も出した。
「それ故にだ」
「魔術も否定しないんだな」
「じゃあ君はそちらも学んでいるのかい?」
「錬金術だけでなく」
「如何にも」
その通り、肯定する返事だった。
「そうしている、実際にな」
「そうなのか」
「君は理系にまつわるものなら何でも学ぶな」
「否定せずに」
「そして確かな科学を突き詰め」
ここでこうも言った炎斗だった。
「そうしてだ」
「似非科学を討つ」
「そうしていくんだな」
「その通りだよ、私が憎むものは」
それはとだ、自信に満ちた不敵な笑みの炎斗の目に憎悪の光が宿った。そのうえで言うのだった。
「似非科学、インチキなのだからな」
「学び科学を突き詰め」
「そうして似非科学を討っていくか」
「そうしていく、子供達にも科学を教える」
正しいそれをというのだ。
「そして世の中にある似非科学を消してみせよう」
「だから錬金術も話す」
「似非ではなく正しい科学として」
「そうするんだ」
「その通りだよ、では諸君また聞いてくれ給え」
目から憎悪の光が消えた、そうして自信に満ちた笑みに戻って言った。
「私の錬金術の授業をな」
「ああ、そうさせてもらうな」
「本物の科学であるそれをな」
周りも答えた、そうしてだった。
炎斗は子供達に今度は錬金術のことを話した、この授業も実にいいものだった。そこに確かな化学があるからこそ。
マッドサイエンティストと子供 完
2018・6・27
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