ある憲兵隊員の憂鬱
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だが、正直なところどうやって聞き出そうと考えてきたシナリオは全て白紙に戻った。
どう聞いたところで、結局のところこちらの意図が読まれてしまいそうな、そんな印象が目の前の男にはあったからだ。
それに、用意された時間はそれほど多いわけではない。
「正直に言おう。私が聞きたいことは、なぜアーク社と整備計画課のつながりが分かったかだ。上がそれを気にされていてね」
「憲兵隊司令官はドーソン少将でしたか」
「私自身はマクワイルド中尉を疑っているわけではない。ただ司令官は前の部署では、捨ててあるじゃがいもの量を軽量計で図ったという噂があるくらい細かい人でね。確認を思っていただけるとありがたい」
「いえ。じゃがいもがようやく真実になったようで。ご苦労をされていますね」
アレスの言葉に若干の疑問を残しながら、コリンズは労いの言葉に感謝を述べた。
「それで気づいた点ですか。最初に言っておきますが、整備計画課が繋がっているとわかったのは後のことです。まさか改修が前倒しになると言っているのに、そんなことがあり得ないとばかりに行動するほど、味方が馬鹿だとは思っていませんでしたから」
「ああ。それは私もそう思うよ」
コリンズも同意をしたが、報告書にはさすがに味方が馬鹿とまでは書けないなと思った。
「気づいたのは配属されて任務を言い渡された時ですね」
「ん。聞き間違いか、マクワイルド中尉」
「いえ。私は当初異動の命令を聞いたときに、アーク社に対して装甲車の改造を負担するように交渉するものと思っていました。あるいは負担の割合をアーク社に多くするといったところでしょうか。ところが」
アレスはゆっくりと首を振った。
鋭い視線がコリンズを見ている。
「任務は来年度からの装甲車の改修を行うことになっていました。ご丁寧にすでに来年度の追加予算まで取ってね。すでに私の異動が決まった時点で、同盟軍の負担で改修が前提になっています」
コリンズはメモを取っていたペンを置いて、ただアレスの言葉を待った。
浮かぶ表情は真剣なものだ。
「新型旗艦の話はご存知ですか?」
「ああ。新たに開発を開始したという話は、ニュースで見たことがある」
「その開発も当課が担当しているのですが、4月の時点で既に動力機関の開発予算すら取れなかったそうです。なのに、それ以上に予算がかかる装甲車の改修は今年に判明して、私が異動する十月の時点で既に予算措置が取られている」
「早すぎると思ったわけか」
「ええ。確実に同盟軍とアーク社、それに、おそらくはもっと上も」
「それはマクワイルド中尉の想像かな」
「そう思っていただいたほうがいいと思います。と、言いますか。調べてもすでに証拠を処分しているでしょうしね。これについては報告するかどうかはコリンズ少佐
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