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終末世界に転生したら人造ゴリラだった件
第一訓 GORIRA,GORIRA,GORIRA
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手を突き出してガラスの窓を揺さぶる。こうなったら自力で脱出するしかあるまい。力強く窓を叩くと、まるで板チョコレートの如く簡単にガラスが割れ、床に破片が散らばった。……しめた! 俺は四足歩行で研究所を駆け周り、必死に出口を探した。訳も分からず扉に体当たりして、強引にぶち開ける。すると目の前に、巨大なエレベーターが現れた。透明なガラスに覆われて中には……新八君がいた! 金髪に染めているが間違いなく新八君だ!

「新八君助けてくれ! 妙な連中に追われてるんだ!」

 扉が開くのと同時に体をダイビングさせた。俺は必死にボタンを連打してエレベーターを上階に移動させる。……ふぅ。取り敢えずこれで一安心だ。何がどうなっているのかさっぱり分からんが、新八君と一緒なら多分大丈夫だろう。

「あの……なんで人造ゴリラがエレベーターに乗って僕と喋ってるんですか?」




「ダハハハハハ! 面白い冗談だな新八君」



 見知った顔がいて安堵したのか、俺は両手で黒い胸を叩きながらウホウホと甲高い声を上げた。俺がゴリラ……しかも人造ゴリラだなんて上手い冗談だ。きっとこれは総悟が考えたドッキリに違いない。そう考えれば全て説明がつく。さっきの研究員達も仕掛け人で、新八君は恐らく……ネタ晴らし要員だ。うん、間違いない!!

「いやあの……僕新八じゃないです。リアム・ビネーです」

 変装しても溢れ出るツッコミ力は隠し切れないようだ。それにメガネも、全く隠せていないぞ新八君。

「フフフ。ちゃちなカツラを被って俺を騙そうとしても無駄さ。この俺が新八君のメガネを見間違えると思ったか?」

「いやいやいや……新八君のメガネって何ですか リアムのメガネですからこれ。あんたさっきから誰と間違えてるんですか!」

 そうこうしてる間に、エレベーターが最上階まで到達した。扉が開くと、いかにもなロボットが数体、俺達に向けて銃を突きつけていた。あんな玩具どこで買ってきたんだか。まままま、まさか幕府から支給された金使ってるなんてこたぁねえよな? そんな事したら松平のとっつあんが黙ってねえぞ!!! い、いやちょっと待て。これは俺へのドッキリだ……ってことは、ある意味俺も役者のひとりだ。役者が取り乱しちゃ何も始まらねえ。ここは武士らしく正々堂々といよう。

「差し詰め……この俺、近藤勲を捕えにきたって所か」

 我ながらあっぱれな演技だ。総悟達が何処で見てるか知らんが、今頃俺のガッツ溢れる演技に魅了されている事だろう。

「どうやら人格サブルーチンが誤作動を起こしているようだ」

「無駄な抵抗はやめて今すぐ我々の指示に従いなさい。特にそこのメガネ」

 プラスチックの皮を被った役者が、新八君にまで銃を突きつけていた。ま、まさか新八君もドッキリ
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