機動戦士ガンダム
2088話
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「……何?」
国を作るというセイラの言葉を聞き、数秒の沈黙の後にラルの口から出たのは、そんな言葉だった。
それはラルだけではない。ハモンもまた同様に目を大きく見開き、映像の中のセイラの姿を見る。
まぁ、その気持ちも分からないではない。
恐らく何らかの理由でザビ家に狙われており、それで助けて欲しいと言ってくるとでも思っていたのだろう。
だが実際に蓋を開けてみれば、そこから出て来たのは国を作るという言葉。
自分の言葉がラルにどれだけの衝撃を与えるのかというのは、セイラにも分かっていたのだろう。国を作ると言ってから、1分近く沈黙を保つ。
それこそ、自分の言葉の意味がしっかりとラルの頭の中に染みこむのを待つかのように。
『いきなりの話で、ラルも驚いたでしょう。ですが、この世界のこれからの事を考えれば、それが最善の方法なのです。生憎と詳しい話をこの映像でするのは色々と危険があるので、今は出来ません。ですがこの映像を持って行ったアクセル・アルマーであれば、色々と詳しい事情を知っています。もし何か分からない事があれば……いえ、恐らく何もかも分からない事だらけだと思いますが、それはアクセルに聞いて下さい。ただし、アクセルの口から出るのは妄想でも何でありません。信じる事は難しいでしょうが……アクセルであれば、それを示す何らかの証拠を見せてくれるでしょう。では、またラルに会えることを願っています』
そこまで言うと、映像は終了する。
部屋に残るのは、沈黙。
ただし、今度の沈黙は先程の沈黙とは違う。
俺の事が本当に信用出来るのかどうか……そんな沈黙。
もっとも、俺を信用出来るのかどうかは、それこそ最初から感じていた事だろう。
見知らぬ俺がセイラとラルくらいしか知らない猫の名前を言って、こうしてダイクン派と見なされて冷遇されているラルに会いに来たのだから。
それでこちらを疑うなという方が無理だった。
やがてそんな沈黙にも飽きたのか、ラルが口を開く。
「それで、アクセルと言ったな。お前は一体何者なのだ? 姫様の映像を見る限りでは、お前に事情を聞けという話だったが……その前に、まずお前が何者なのか……そして姫様とどのような関係なのかを聞かなければ、とてもではないが落ち着いて話を聞くつもりにはなれん」
姫様、か。
さっきからラルはセイラの事をそう言っているが……まぁ、アルテイシアと呼ぶなと俺が言ったのを律儀に守っていると考えれば、そこまで不思議でも何でもないか。
「何者かってのはともかく、俺とセイラの関係を言うのは……何て言うのが正確なんだろうな。何しろ、俺とセイラは今日会ったばかりだし」
「……何?」
ピクリ、と。
俺のその言葉にラルが反応する。
「どういう事だ? 姫様は
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