暁 〜小説投稿サイト〜
レーヴァティン
第五十九話 名古屋の街その十二

[8]前話 [2]次話
「思えば」
「成程な」
「そして英雄殿と旅に入り」
 一人ではなく二人そして目的もあるそれにというのだ。
「今に至るでござる」
「成程な」
「今思えばまことにでござる」
「まさに神仏の配剤か」
「そう思うでござる」
 まさにというにだ。
「人は人だけで動いていないでござる」
「神仏によってもだな」
「動いているでござる、しかし」
「しかし。何だ」
「拙者達は運命が全てはないでござろう」
「神仏の配剤だけではないか」
「拙者は予定説ではないでござる」
 キリスト教プロテスタントのカルヴァン派の教えである、人間の運命は全て神が既に決めているというのだ。
「運命は変えられるでござる」
「人間の手によってな」
「その要素もあるでござる」
「神仏は全てに関わっていないか」
「人間はある程度の自由意志があり」
「その自由意志は大きいな」
「はい」
 まさにというのだ。
「そう考えているでござる」
「俺もそうした考えはない」
「運命が全てとは」
「思っていない」
 神仏の配剤が全てではないというのだ。
「そこには必ずだ」
「自分自身の力があるでござるな」
「人のな」
 強い言葉で言った英雄だった。
「それがある」
「運命は変えられる」
「それも可能だ、ただしな」
「ただしというと」
「よくも悪くもだ」 
 どちらも有り得るというのだ。
「変わる」
「運命というものは」
「そうだ、どちらにも転ぶ」
 いい方にも悪い方にもというのだ。
「運命はな」
「運命は変えられるにしても」
「悪くもなればだ」
 あえてこちらを先に言った英雄だった。
「そしてだ」
「よくもでござるな」
「なる」
「その選択も大事でござるな」
「馬鹿な道を選ぶと悪くなる」
 そうした選択をすればというのだ。
「その場合はな」
「そう言うでござるか」
「実際に悪い運命に至った奴もいるな」
「はい、拙者の知人でござるが」
 ここでだ、智はその顔を暗くさせて英雄に述べた。
「どうにもならない男と結婚をして」
「不幸になったか」
「そうした人がいるでござる」
「悪い男と結婚したか」
「働かず大飯ばかり喰らい偉そうに言うだけで何もしない出来ない男でござる」
「無能か」
「ただの無能ではござらぬ」
 智は不快感をこれ以上はないまでに見せて語った。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ