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レーヴァティン
第五十九話 名古屋の街その九

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「出来ればこうした場所の灯りは」
「火よりもだな」
「術で灯した方がいいですね」
「そうだな、火だとな」
「不慮の事故が起こった際にです」
「火事の元だ」
「ですから」
 出来るだけと言うのだった。
「それよりもです」
「術でな」
「灯すべきですね」
「特にこうした建物は木だからな」
「燃えやすいです」
 良太は木のこの性質も指摘した。
「ですから」
「本当にそうだな、火事は街の天敵だ」
「まさに」 
「なら火よりもな」
「術やそうしたものを応用した技術で」
「灯すべきだな」
「電気等があれば違います」
 良太はあえて自分達が起きている世界のことを話した。
「あれを灯りとすれば」
「全く違うな」
「はい、火よりも遥かに安全です」
「火事をなくすにはそこからだな」
「火の元をどうするか」
 まさにと言う良太だった。
「そこからです」
「そこも政で考えていくべきか」
「そうかと」
「そこからか」
「火事を出来る限り少なくすることもです」
「政だな」
「そして起こった時のことも考える」
 このことも大事だというのだ。
「町火消しの様なものを置く等して」
「あれか、江戸時代の」
「はい、町火消しは非常に有り難い存在でした」
 大名火消しと並んでだ、江戸の街や人々を大火事から救っていたのだ。この火消しが置かれる様になってから江戸の街は火事の犠牲者がかなり減った。
「それに建物も瓦や土蔵にすれば」
「火はだな」
「はい、燃えにくいです」 
 木の家よりもというのだ。
「これはロンドンでもでした」
「イギリスの首都か」
「ロンドンでも大火事が起こっています」
 十七世紀初頭のことだ、この大火事で悪名高き黒死病が収まってもいる。大火が疫病を清めもしたのだ。
「木の家や建物は燃えてです」
「石のものは残ったか」
「そうなりました、ですから」
 それでというのだ。
「燃えない建物を増やしていく」
「それも大事だな」
「はい、この名古屋も木の家や店が多いです」
「この店にしてもな」
 そうだとだ、英雄は良太に頷いて答えた。
「木だしな」
「しかも灯りが火となると」
「何かあれば面白い様に燃える」
「それこそ蝋燭を落としもすれば」
 まさにそれだけでとだ、良太は目を顰めさせて話した。
「そこからです」
「店自体が燃えるな」
「そうもなりかねません、ですから」
「灯りをどうするか」
「そして建物自体も考えて」
「火消しも置くことだな」
「こうしたことも政です」
 街のそれだというのだ。
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