第壱話:綾波さんは揉まれたい
第壱話:綾波さんは揉まれたい(転)
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ァストは慇懃な口調の中に、少し面倒くさそうな色を交えて指名する。そして、無邪気な女王はそれに気づかず、遠慮なく問いをぶつける。
「何で私が旗艦じゃないの!? 私こそはロイヤルの…!」
「式典でふさわしい振る舞いができない、と見込んでのことです。たとえ内々の儀礼であれど、シスターサラと比べて無様な振る舞いをすれば、今度は折檻どころでは済まされないと言う事はご存知でしたか?」
何も考えない女王の言葉に、ベルファストは怒りを噛み殺した口調で言う。実際、これより一つ前のブリーフィングと出陣式で、エリザベスは見事にやらかしてしまった。ユニオン首脳陣の前で。一方のサラトガがあまりにも完全無欠の振る舞いをしたからとても目立ってしまった。ロイヤルの恥を晒したエリザベスには、漏れなくベルファストとフッドから折檻が行われ、以後陛下がしっかりするまでは旗艦にはつけまい、とケイトは後悔したものだ。ケイトだって、何もエリザベスやロイヤル陣営に恥をかかせたかったわけではないのだ。同時に物凄く上がってしまったハードルに同情する。式典時のサラトガと同等の態度など、誰もできない。フッドのあれは本人の実績でなんとか可となっている程度のものなのだ。ベルファストなら辛うじて同等の振る舞いができるだろうが、彼女は軽巡洋艦であるが故に旗艦にはなれない。ウォースパイトも考えられるが、主君であり、姉艦であるエリザベスを差し置いての抜擢はどうかと思う。
「さて、他に質問は?」
自身の言葉に完全粉砕された女王様を置いておいて、ベルファストは質問を続ける。
「はい」
そう言って手を挙げたのは綾波であった。その表情にはある種の覚悟がある。それを見て取ったケイトは背筋をぞくっとさせ、ベルファストは嬉しそうに微笑んだ。
「これは質問ではなく提案なのですが… ベル、我が艦隊は必死で戦い続けてきましたが、今までボーナスというものを貰った事がないのです。違いますか?」
「はい、お嬢様。仰る様に、ボーナスといった特別手当が出た試しはありません」
綾波の問いにベルファストは間伐を入れずに答える。何というか、自分がけち臭い司令官のような気がして、ケイトは言葉を詰まらせた。確かに、今まで特別に功労に報いたことはなかった気がする。
「よって、今後一定の目的を果たした者に相応の報酬を用意することを提案いたしますのです。そうすれば、士気はますます上がるはずなのです」
「ああ。そうだね…」
綾波の提案にケイトは乾いた笑いを浮かべて言う。綾波の言いたいことは分かるし、実践したいことではある。しかし、正直金がない。何をするにおいても、先立つものは必要だ。艦娘の建造、装備と施設の拡充。それらを何とかするだけで手一杯でとてもボーナスに回す金がない。
「指
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