第壱話:綾波さんは揉まれたい
第壱話:綾波さんは揉まれたい(転)
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トの言葉に応じてベルファストが言う。読み上げる、と言いながら彼女はメモさえ持っていない。できる彼女はあの程度の内容など、すでに頭に入っているのだ。
「以下敬称略で読み上げます。第一艦隊。サンディエゴ、雪風、綾波、明石、サラトガ、アリゾナ。貴艦達には敵陣の掃討を命じます。旗艦、サラトガ。復唱」
「はい! サラトガ以下6名、指揮官の命を受け、対象海域の敵陣の掃討にかかります!」
ベルファストの伝達に、サラトガはとても綺麗なユニオン海軍式敬礼を行い、厳格な口調で命令を復唱する。答礼を返して、ケイトは内心でいつものように感動する。普段は悪ふざけもするが、こと厳格な場においてのサラトガの礼儀作法は完璧で非の打ち所がない。服装にも塵や乱れのひとつなく、ビシッと決めている。この辺りは流石歴戦の古参艦の面目躍如だ。エンタープライズでさえかなわない。その絶対的な様式美に感動しない軍人はいないだろう。
「第二艦隊、シグニット、フォーチュン、ジャベリン、ウォースパイト、フッド、クィーン・エリザベス。貴艦達には敵中枢の殲滅を命じます。旗艦、フッド。復唱」
「かしこまりました。フッド以下6名。必ずや指揮官の望む以上の戦果を挙げて帰還します。ロイヤルネイビーの栄光と名声に誓って」
第二艦隊のフッドは、伝達にこれもまた優雅なロイヤル海軍式敬礼を行い、我流の混じった口調で復唱する。優雅でありながら破天荒なその態度は、自身の自信と実力に物を言わせるものだった。この辺りは実にロイヤルらしい、と返礼するケイトは思う。サラトガのような様式美はないが、これはこれで悪くはない。
「作戦内容は至ってシンプルです。第一艦隊が、敵陣の艦隊の多数を撃破し、炙り出された敵中枢艦隊に、第二艦隊が突撃を仕掛ける、というものです」
ベルファストの読み上げた作戦内容は実にシンプルなものだが、それ故に理解しやすいものである。現に、サラトガやフッドは言うに及ばず、サンディエゴや幼いフォーチュンでさえ頷くほどだ。
「第一艦隊の戦術は以下の通り。まず、トップのサンディエゴ様が対空防御に勤め、アリゾナ様はそれを守るべく支援砲撃。陽炎様とお嬢様の魚雷で敵の大半を粉砕し、装填の隙はシスターサラの支援砲撃と航空攻撃によって補います。質問はございますか?」
「はい」
ベルファストの言葉に、サラトガが即座に手を挙げる。こと任務において、彼女は非常に厳格で、疑問があれば遠慮なく質問してくる。特に自身と僚艦の生存に関してはかなりうるさい。それは、彼女が戦果を挙げるよりも、まず生存を第一とする、という性格をしているからであろう。それは兵としては何よりも重要な心構えであった。戦場において、最悪の兵は死んだ兵なのだ。
「指揮官、この編成だと自爆ボートへの対策が足りてない
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