機動戦士ガンダム
2087話
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がった男は、しっかりと俺の手の痕が残っていた手首を触りながら、半ば恐怖の浮かんだ視線をこちらに向けてくる。
他の面々も俺が見た目通りの存在ではないというのは分かったのか、こっちを侮るような視線を向けている者はいない。
そんな者達を余所に、俺はラルとハモンの2人と共に店の奥に向かう。
そこは確かに休憩室と呼ぶに相応しい部屋で、テーブルと椅子が幾つか置いてあった。
そのテーブルで、ラルとハモンの2人は俺と向かい合うように座る。
そして数秒の沈黙の後、最初に口を開いたのはラル。
「お前が言っていたルシファというのは、とある御方が飼っていた猫の名前だ。その名前を出すということは……」
「ああ。セイラ・マス。いや、お前達にはアルテイシア・ソム・ダイクンと言った方が分かりやすいか? もっとも、アルテイシアの名前はここだと色々と危険だからな。取りあえず、セイラで通させて貰うけど」
アルテイシアという名前が出た瞬間、ラルの表情は一段と厳しくなる。
いや、ラルだけではない。ハモンもまた同様に、俺を見る視線は厳しい。
「お主……」
「ああ、そう言えば自己紹介がまだだったな。俺はアクセル。アクセル・アルマーだ」
ラルの呼び掛けに、そう言えばまだ自己紹介をしていなかったなと気が付き、そう告げる。
だが、ラルもハモンも俺が自己紹介をしても、態度が和らぐ様子は全くない。
無理もないか。ラルやハモンにとって、セイラという人物はそれ程に重要な人物なのだから。
ただし、セイラからの伝言を見れば……国作りやら、異世界の存在やらを知れば、どう反応するのか、その辺りまでは分からないが。
「アクセル・アルマー。……うむ。お主の名前は分かった。それで、アルテ……いや、姫様の話を聞かせて貰おう」
「俺が何かを言うよりも、これを直接見た方がいいだろうな。セイラから映像を預かってきている」
そう言い、空間倉庫からデータ再生用の機械を取り出す。
掌サイズとはいえ、まさか何もない場所からその再生機を取り出したのを見て、ラルもハモンもさすがに反応を示す。
……それでも、実際に俺に何かを尋ねてくる様子がなかったのは、さすが青い巨星と言うべきか。
ともあれ、再生機を起動させて、録画された映像をそこに映し出す。
『ラル、久しぶりですね。10年前は世話になりました。私の事を覚えていますか?』
映像に映し出されているのは、セイラの部屋。
ただし、その口調は俺が知っているセイラのものではなく、アルテイシアの……ジオン・ズム・ダイクンの1人娘としての口調。
「おお……姫様」
「貴方」
ラルとハモンは、一目見ただけで、そこに映し出されているのがセイラだと納得したのだろう。
ラルは感動した様子で映像
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