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雪音クリスの休日
08
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 その後、ニンジャのヤクをキめた司令がトイレから出ると、店外から大声が響き渡った。
「よくもヤリやがったなっ、響っ! 表に出て校庭で勝負しろっ、店に迷惑だっ!」
 クリス隊員のドスが効いた声が店内奥のトイレにまで聞こえ、油断している時に腹パンで倒され、体育倉庫に放り込んで閉じ込めたクソビッチと決着を付けようとした。
 二人共リディアン音楽院の制服なのだが、すでに武侠物とかバンカラ学生のケンカ物にストーリー変更され、車田調とか本宮調のペンタッチになって、少女マンガ家でもある本宮先生の奥さんが書いた女絵に、極太の輪郭を足したような顔になって、女子高生異能力バトル物の世界に旅立とうとしていた。
「オッケー」
 響の方もバキみたいな顔しながら、指を鳴らして戦闘モード。
 生身でもシンフォギア装着状態でも、素手ゴロなら響の方が強い。
 真っすぐに突き抜けるようにぶん殴られると、ネフシュタインでもイチイバルでもクリスが負ける。
 クリスが有利なのは、シンフォギア装着後の「遠距離火力」だけである。
「や、やめろ二人共っ」
 クリスの方は、司令がいつも使う、博愛固めとか溺愛ハグで血圧を下げて、頭に上った血を顔面装甲方面に移動させて、抱き締めたままで頭ナデナデとか背中ポンポンして、ハートをキュンキュンさせる技術で何とかなりそうだったが、響には効かない。
 指令は響の前に回って、先にクリスを無力化しようとしたが、店外で予想外の音が聞こえた。
「ドスッ、バキッ、ガス、ゴキゴキ、ザシュウッ!」
「ぐへえっ」
(え? 今の何? まるで生身の人間を袋叩きにしてから首の骨へし折って刃物で切ったような音と、クリス君がくたばったような声?)

 そこで「ふらわー」のガラス戸の前に緑色の物体が近付いた。
 司令は勇気を出してガラス戸を開いたが、予想外の物体が立っていて戦慄した。
「パパー、怖い(じへん)みたの〜」
 そこにはエルフナインがキャロル装束で立っていた。
「ヒイイイイイイイッ!」
 他にも色違いのキャロル装束に身を固めた、南極エルフちゃん1号から5号ぐらいの自動人形(オートスコアラー)が、ハカイダー五人衆かゴレンジャーみたいに生身のクリスを処刑し終わり、軽くタコ殴りにした後に首を絞めながらネックハンギングツリー。
 タカラヅカ歌劇のベルサイユの薔薇で、バスチーユ監獄前で撃たれたオスカル様みたいに、十字架の体制にされて持ち上げられ天に上る途中で、後は天馬の馬車に乗ったアンドレさんがお迎えに来るのを待つばかりとなっていた。
「やめてよう、やめたげてよう」
 クリスの顔が見る見る紫色に変化して行ったので、どうにか抱き留めて救助した司令。
「パパを苦しめる「物」はエルフ達が全部シバいてあげるね、ウフフフフフフフフウフフフフフフフフフフフフフ
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