第五十五話 武蔵と箱根でその十一
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それでだ、彼等東国の軍勢もだったのだ。
「攻めにくいな」
「方陣一つ一つが助け合う様に布陣していてな」
「余計にやりにくいな」
「方陣一つ崩すのも」
「かなり厳しいな」
攻めてはいるが攻めきれない、それでだった。
彼等は攻めあぐねていた、まさに関西の軍勢の思惑通りだった。
しかもだ、ここでだった。
空から援軍が来た、その空船には。
「戦になっていますね」
「予想通りぜよ」
正岡は同じ船に乗っている織田に応えた、着物の前から腕を出して顎に手を当てている。右目は瞑り独特の顔になっている。
「攻めて来ると思うちょったわ」
「そうですね、正岡さんの言われる通りでした」
「向こうも必死じゃからのう」
東国の軍勢にしてもというのだ。
「そやからじゃ」
「急襲を仕掛けてきましたね」
「無理になろうともな」
「しかも星の人まで一緒ですね」
「武者小路と有島じゃな」
井伏、山本と戦っている彼等を見ての言葉だ。
「あれは」
「そうですね、それでは」
「わし等も降下してじゃ」
「そのうえで」
「方陣を助けて攻めるぜよ」
「我々が兵を率いて」
「そしてじゃ」
そのうえでというのだ。
「この場所を確かに固めるんじゃ」
「わかりました、では」
「適当な高さで船から飛び降りるぜよ」
こう言ってだ、そのうえでだった。
二人はまずは自分達が空船から飛び降りた、そして兵達もだった。
空に飛び降りた、そして地面に降り立つと即座にだった。
敵への攻撃にかかった、正岡は短筒から攻撃を放ち敵を十人単位で吹き飛ばしつつ僧侶の術を放って戦う織田に言った。
「ええのう、わし等はじゃ」
「一気にですね」
「そうじゃ、攻めてくる東国の軍勢を倒してくわ」
「そうさせてもらいます」
「ただ、一騎打ちは邪魔せんことじゃ」
織田に右目を瞑って笑って話した。
「ええのう」
「はい、漢と漢の一騎打ちです」
「それならばじゃ」
「一騎打ちは邪魔をしないで」
「そしてじゃ」
そのうえでというのだ。
「わし等はわし等の戦をするんじゃ」
「わかりました」
織田は頷きそうしてだった、正岡と共に兵を率いてそうして方陣を攻めていた東国の軍勢をその方陣を助ける形で攻めた。
箱根の戦は今さらに激しさを増していった、だがそれは東国にとっては本当の意味での勝負をかける時ではなかった。
芥川が率いる軍勢と対峙しつつだ、幸田は共にいる日毬と麻友、千歳に言った。
「さて、きりのいいところでな」
「うむ、星の者は全てな」
「一旦それぞれの場所の采配を部将達に任せて」
「綾乃ちゃんを攻めるか」
「我等全員でな」
「そうするか」
「じゃあ今はね」
麻友も今は戦場にいる、そのうえで真剣な顔でいる
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