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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
第七十一話 劉備、何進を匿うのことその九

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「鰐だけではないぞ」
「他にはどんなのがあったんだよ」
「牛や豚や羊もあった」
 まずはオーソドックスなものだった。普通の肉屋にあるものだ。
「鶏肉関係もじゃ」
「鶏もかよ」
「鴨や七面鳥とかも扱っておったぞ」
「多いな、そりゃまた」
「家鴨や鳩や雀もじゃ」
「本当に多いな」
「何でも食べられるものなら置いておった」
 そうだったというのである。
「それを全部捌いておったのじゃ」
「だからか。よくわかってるんだな」
「うむ。鰐は特によかった」
 その鰐の話もするのだった。
「鰐は革が高値で売れるからのう。それもよかった」
「革なあ」
「よいぞ、鰐は」18
 そうした意味でもだというのである。
「まことにのう」
「そうか、食ってもいいしな」
「そうじゃ。ところでじゃ」
「ああ、何だ?」
「御主何処で鰐の味を知ったのじゃ」
 何進が問うのはこのことだった。
「何処でじゃ、それは」
「ああ、それな」
「何処でその味を知ったのじゃ」
「タイで知ったんだよ」
 そこでだというのだ。
「俺が今やってる格闘技な」
「ムエタイとかいうものじゃな」
「それを身に着けに行った時に食ったんだよ」
「それからか」
「そうなんだよ。日本じゃこんなのないからな」
 彼の祖国にはだ。ないのである。
 そしてだ。あらためて食べながらまた何進に話す。
「しかしあんた本当に肉料理美味いな」
「少なくとも自信はある」
「こっちでかなりいい線いくんじゃないのか?」
「そうやもな。それではじゃ」
「ああ、もう将軍には戻らないんだよな」
「最早わらわの役目は終わったようじゃしな」
 怪物達に言われたことをそのまま話す。
「だからじゃ。もうよい」
「そういうことなんだな」
「ああ、それでな」
「うむ、それでじゃな」
「あんたもそうして。俺は」
「御主は?」
「戦うからな」
 そうするというのだ。彼はだ。
 ここで唐揚げを食べ終えた。そうしてだった。
 丈は立ち上がってだ。こう言った。
「この脚と拳でな」
「御主はそれじゃな」
「ああ、頭は悪いが喧嘩は強いぜ」
 自分でもだ。わかっているのだった。
「食うこととそっちには自信があるからな」
「ではそちらは任せたぞ」
「そういうことでな」
「しかし御主頭は悪いのか」
 何進は丈本人のその言葉に反応を見せた。
「そうなのか」
「学校とか勉強は嫌いなんだよ」
 それでだというのだ。
「字ばっかりの本とか読んでたら頭が痛くなってな」
「ううむ、それではまことに」
「まことに?何だってんだ?」
「馬鹿なのじゃな」
 それだという何進だった。

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