暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
Alicization
〜終わりと始まりの前奏〜
雨気
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つ暴風雨そのものではない。支配権を一時的に手に入れていようが、それを維持などとてもできん。

だが。

―――いや、待て。逆に言えば、一時的にでも持てればよいという目的なのか……?じゃが、操作権とはいえ、何でもできるという訳ではない。それを駆使してできることと言えば……。

天才性に対するは経験値。

陽の光の当たらない暗がりに身を置きつつも、半世紀以上生き抜いてきた老人はその人生の全てを賭けて、一人の《鬼才》の内部を暴きにかかっていた。

一代で財閥を築いた《財政界の怪物》もまた、時代から離されたとはいえ天才に変わりはしないのだから。

《鬼才》の思考は同じレベルでしか分かりえない。だが、人間である以上避けようのない癖や偏りが存在するはずだ。

この場合は目的。あの男の取る行動に何も意味がないというのはありえない。必ず最終的な目標ないし指針があり、一連の行為もそれに付随するように設定されているはず。

そして、それに至るピースならばもう揃っている。

そこで重國は目線を巡らせた。紙面の上を滑らせるように骨張った指が動き、目的の単語を探す。

「《プロジェクト;インディゴ》……アイ計画」

まずは、それが発端の単語。

一人の男が歩んできた軌跡を沿うように、老人は言葉を羅列していく。

「中東紛争に参加したのは、これに関するパトロンとの取引か。恐らくは資金援助じゃろう。そうまでして己の研究施設と機材を揃え、この計画は成功――――だが、納得しない結果に終わった。そしてヤツは中東からエジプトに本拠地を移し、そこで……《何か》を創った」

この《何か》は今のところ分かってはいないが、この後の行動を含めて考えれば大体推測は立つ。

「おそらくこれは、このすぐ後に研究開発された《アカシック・レコード》の中枢部分……新型の演算中枢といったところかの。ここから《アルカイック・レポート》に繋がっていくはずじゃ」

アカシック・レコードについても、だいたいのところは秘密のベールは剥がされてきている。というのも、元々中東のために開発された次世代演算機らしいのだが、紛争が終結し、当の本人が本格的に中東から撤退し始めたことにより、秘密をわざわざ保つだけの理由がなくなってきたのだ。

アカシック・レコード。

神の代替脳とまで言われる次世代の高々度並列演算機器(アブソリュートカリキュレーター)

3996台のサーバー、43956個のCPU、443556個のGPUを束ねる並列演算処理プログラムからなるシステム群……というのが一応の公的なスペックシートに記されている数字だ。実際、紛争中にも民間ゲリラの行動予測や、カオス演算を駆使した天候予測やミサイルの弾道算出など、分かっているだけでもチマチマした功績は出てくる
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