第二章
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「それこそね、けれどね」
「誰かが疑われたままでも」
「そう、灰色でもね」
誰かが盗んでいれば黒だ、だが灰色という疑念もまた然りというのだ。
「厄介よ」
「それでよね」
「そう、何とかね」
「しないと駄目ね」
「ここはね」
「それでいい知恵あるの?」
「あるわ」
姉の返事は即答だった。
「あの娘用心深い娘よね」
「相当にね、特にお金のことにはね」
「用心深いのね」
「だから余計に皆疑ってるのよ」
「なくす筈がない」
「そう、肌身離さず持っているか」
お金を保管する時はというのだ。
「それかね」
「あの娘自身が言っていたみたいに」
「鞄の底の底とか」
「まず見付からない場所に」
「まあ底の底もね」
「どうも本人言ってないけれど」
「隠せる場所ね」
「もう下手に探したらわからない場所に置くタイプよ」
こう姉に話した。
「それお姉ちゃんも見てるでしょ」
「ええ、伊達にずっと一緒にいないわよ」
つくよと、とだ。姉は妹に笑って話した。
「私のあのクラスの一員よ」
「じゃあ聴くまでもないじゃない」
「確認よ、つまりね」
「つまり?」
「推理の材料は全部揃ってるのよ」
「全部って」
「はっきり言うわ、クラスで盗む様な悪い子いないわ」
姉はこのことははっきりと言った。
「というかあの娘自分が部費持ってるって言ったのなくしてからよね」
「ええ、それまでは一度もね」
「あの娘がお金持ってるって知ってる娘いないのに」
それでもというのだ。
「お金盗めないでしょ」
「誰もね」
「だとするとよ」
「ううん、誰も盗んでないのね」
「知ってるとすればあの娘に部費渡した人だけよ」
「陶芸部の人でも」
「部長さんクラスよ」
そこまでの人だというのだ。
「物凄く限られてるわ」
「ううん、けれど部長さんは学年違うし」
それでとだ、つくよは姉に話した。
「クラスは知っていてもあの娘の席とか鞄とかそこの底の底にあるとか」
「そこまで知ってる?」
「考えにくいわね」
「そうでしょ、だったらね」
「それだったら」
「そう、誰かが盗んだとはね」
「考えられないわね」
「どうしてもね」
まさにというのだ。
「誰かが盗んだ可能性は極めて少ないわ」
「そうなるのね」
「だったらわかるでしょ」
「あの娘なくしてないのね」
「これは策士策に溺れるよ」
そうなるというのだ。
「まさにね」
「策士策にって」
「だから厳重に隠して保管し過ぎて」
「自分でもなの」
「わからない様な場所に入れてしまったのよ」
「それで見付からないのね」
「そうよ、だからあの娘にね」
まさにというのだ。
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