第一章
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双子の推理
三上つくよには姉がいる、だがこの姉の存在は両親すら知らない。つくよは『二人』だけになった時に姉によくこう言っていた。
「ねえ、私お姉ちゃんとはね」
「一緒にいたくはないっていうのね」
「何でいつも一緒にいるのよ」
「それはあれよ」
姉はつくよに笑って話した。
「双子だからよ」
「私は生まれてお姉ちゃんは生まれなかった」
「それでも魂はあってね」
それでとだ、姉はいつもつくよに笑って答えた。
「いつも一緒なのよ」
「やれやれね」
「いいじゃない、いつも二人一緒だから寂しくないし」
「鬱陶しいわよ」
「しかもピンチも乗り越えられてるじゃない」
「それはね」
このことは言われてみればだった、まさに。
「私が忘れものしかけたらいつも言ってくれるし」
「危なそうな人も忠告するでしょ」
「ええ、だからよね」
「そう、だからね」
「二人一緒でいるとっていうのね」
「いいのよ」
これが姉の返事だった。
「あんたにとってもね」
「そうなるの?」
「なるわよ、だからこれからもね」
「二人一緒でいようっていうのね」
「そうしていきましょう」
笑顔で言う姉だった、常に。そして。
ある日つくよのクラスである騒動が起こった、その騒動はというと。
陶芸部の部員が部費を預かっていたがそれを突然なくしたのだ、その部員はしっかりした女子生徒だったが。
部費をなくしてだ、相当に狼狽していた。
「どうしようかしら」
「部費なくしたの」
「そうしたの」
「ちゃんと鞄の中に入れていたのよ」
自分のというのだ。
「それも底の底にね」
「それでもなの」
「部費なくなったの」
「そうなったの」
「どうしようかしら」
陶芸部のクラスメイトは心から心配していた。
「部費なくしたら。弁償しないと」
「誰か取ったんじゃない?」
「そうじゃないの?」
「だからないんじゃないの?」
「そのせいで」
「まさかと思うけれど」
陶芸部の娘はクラスメイト達に怪訝な顔で述べた。
「うちのクラスにそんな子いるかしら」
「ううん、うちのクラス大人しいカラーだしね」
「いいこともしないけれど悪いこともしない」
「そんなカラーだし」
「部費盗むとか悪いことする子いる?」
「いないんじゃ」
皆もまさかと思っている、だが。
疑念はあった、つくよもその状況を見て嫌なものを感じていた。それで一旦クラスから出てだ。
校舎の屋上で『二人』だけになってだ、姉に言った。
「まずいわね」
「ええ、お金のことはね」
姉もこう妹に返した。
「どうしてもね」
「問題になるわよね」
「誰かが盗んだって出るのはね」
「普通にある展開よね」
「そうよ、だからこ
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