十匹め
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「ここがアタシの店だぜ」
カランカランとドアを開け、ボーデンが自分の店に入る。
店の中には小瓶が並んだ棚がある。
「きゅー?」
「ああ、アタシは錬金術師でね。主にポーションの類いを製作販売してるんだ。
体力回復から媚薬までなんでもござれだ」
「きゅー」
シラヌイが責めるようにボーデンの頭を尻尾でぺちぺち叩く。
「おいおいそんな悪人を見るような顔すんなって!お得意様にしか卸してないよ『そういう薬』はさ」
「きゅっ!」
「所でアンタ、獣化は解かないのかい?」
「きゅぅ?」
シラヌイが首を傾げる。
「いや、アンタがそのままでいいならそれで構わないんだけどね?」
「きゅぅー」
「そうかい。すきにしな」
ボーデンが毛並みに逆らわないよう優しくシラヌイを撫でる。
「きゅぅぅん…」
ボーデンはシラヌイを肩にのせたまま店の奥へ。
「きゅ?」
そこにはフラスコや試験管、蒸留器などが置いてあった。
「ああ、今から幾つかポーションを造るんだ。
お前にも少し教えてやろうか?」
「きゅぅ!」
ボーデンは幾つかの材料と器具を持ってきて、準備を始めた。
「先ずは薬草類だ。ヨモギやらゼンマイやらの野草だな。他には塩とか」
材料の説明の後、器具の説明に入った。
「これが液体燃素ランプ、そして三角台と…」
そこでシラヌイがボーデンの頬をつついた。
「どうしたシラヌイ?」
「きゅぅ。きゅー」
「えーと?」
何かを言いたげなシラヌイだったが、ボーデンにはわからなかった。
シラヌイがスルリとボーデンの肩から降りた。
「きゅぅー!」
と一声鳴くと、シラヌイの体が膨張した。
そして…
「燃素なんて物は存在しないよ。ボーデン」
ピンと立った耳とモフモフの尻尾はそのままに、人の姿となったシラヌイがボーデンの後ろに立っていた。
ボーデンは振り向いて、その姿を確認した。
「シラヌイ……か?」
「うん」
「…………えぇ…まぁじでぇ…?」
「?」
ボーデンの視線が耳と尻尾に集まる。
「シラヌイ、お前のお母様ってシェルム先生だろ」
「なんでわかったの?」
「まぁ、いいや、家出中なんだったな。
ちょっとした知り合いだよ」
「ふーん…」
ボーデンがシラヌイを上から下まで見る。
「ボーデン?」
「むふふ…美味しそうな獣耳ショタ…」
「?」
「あぁ、なんでもないぞシラヌイ」
なおも首を傾げるシラヌイにボーデンは手招きした。
ボーデンはシラヌイを横抱きにして膝の上にのせる。
「ぅゆ?」
「さっきア
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ