十匹め
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ンタが言ってた燃素なんて存在しないってどういう意味だ?」
シラヌイがボーデンを見上げる。
「実験してみる?」
「実験?」
「物が灰と燃素で出来てるなら物を燃やせば灰は軽くなる…それを確かめるんだよ」
「はぁ?当たり前だろう?」
「燃素が存在するならね」
シラヌイは広げられた材料と器具を整理し、必要な物を集めた。
天秤、皿、そして燃やす物だが…
「ボーデン、鉄粉か銅粉あるよね?」
「あるが…どうするんだ?」
「CuOかFe2O3が分かりやすいからね」
「?」
ボーデンは面白そうだったので銅粉を手渡した。
「ん。ちゃんとCuOとかCuS2じゃなくてCuだね…」
シラヌイが天秤に皿を載せ、片方に銅粉を、片方に錘をのせた。
「さぁ、燃素説をひっくり返そうか」
悪戯小僧のような笑みを浮かべるシラヌイを、ボーデンはニヤニヤと見ていた。
十数分後。
ボーデンは頭を抱えていた。
悩みの種は勿論ボーデンの膝で腹這いになっている狐だ。
実験を終えたシラヌイはボーデンにドヤ顔をしたあと即座に獣化し、ボーデンの膝の上で腹這いになって眠り始めた。
まるで答えは自分で考えろと言わんばかりの行動だ。
「何故だ…何故重くなる…。燃素が出ていったんだから軽くなるはずだろう…」
ボーデンは実験で得られた『金属灰』の皿を手に取る。
「シラヌイが魔法で何かを入れた…?」
だがボーデンはその考えを即座に打ち消した。
「いや…シラヌイは魔法を使っていなかった…使っていたらアタシが気付かないはずねぇし…」
ボーデンはうんうんと考え続けていた。
そこでカランカランと店のベルが鳴った。
仕方なくボーデンはシラヌイを抱き抱え、店に出た。
そこには最も会いたくない人がいた。
「うげ…シェルム先生…」
ぴこんと立った耳に和らげな顔つき、女性にしては高い身長にグラマスな体とモフモフの尻尾。
「久し振りですねボーデン・フォン・パナセオ国家錬金術師筆頭兼宮廷魔導師第八位殿」
「ぇあー…何の御用でしょうかシェルム・フォン・シュリッセル宮廷魔導師第一位兼魔導師団長兼魔導学院名誉院長殿」
シェルムはピッとボーデンの腕の中で眠るシラヌイを指差した。
「シラヌイが落ち着くまで預かっていて欲しいのですよ」
「………んん?」
「聞こえませんでしたか?全く貴方は学院にいた頃からそうでしたね…」
「あー…えっと…『ウチの子を返せー』とかでなく?」
「はい」
「……………正気かよ先生?」
「はい。今のシラヌイは少し私達と離れた方がいいとお母様が仰
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