158 期待
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旅館に帰った藤木は寝る前に、遊園地で買った猿のストラップを見ていた。
(笹山さん・・・。僕は世界大会に行けるよ・・・。僕が遊園地で買った君との思い出が詰まったこのストラップがお守りになったんだ・・・)
藤木は入院している笹山の事を考え、寝るのだった。
翌日、藤木とその両親は花巻空港へ向かい、飛行機で羽田空港へ行き、そこから東京モノレールで浜松町駅で東海道本線に乗り換えて帰る予定でいた。飛行機の中で、父親が茂に話しかけた。
「茂、お前、大会に出て変わったかもしれないな」
「え?」
「お前は皆から卑怯と言われていた時のようにおどおどした様子がないからな。ま、お前の好きなスケートだからそれだけ自信が持てるのかもしれないな」
「うん、それもあるよ。でも、リリィに笹山さんと約束したんだ。卑怯を治すって」
「そうかい、茂、あんたいい友達を持って良かったね」
母親が感心した。
「うん・・・」
笹山は藤木のスケートの結果が気になっていた。
(藤木君、早く会いたいわ・・・)
その時、誰かが入ってきた。
「笹山さん」
城ヶ崎だった。
「城ヶ崎さん・・・」
「帰って来たわ。これ、お土産よ」
城ヶ崎が差し出した土産は黒餅だった。
「ありがとう。そうだ、藤木君は?」
「藤木なら凄い結果だったわ」
「と言うと?」
「落ち着いて聞いて。銀賞よっ!」
「銀賞・・・。って事は世界大会に行けるのね!」
「そうよっ!」
「良かった・・・。藤木君・・・」
笹山は涙が止まらなかった。
「それで、藤木君はいつ帰って来るのかしら?」
「今日の夕方じゃないかしら?」
「うん、学校で藤木君に会ったら私の所に来てって言っといて・・・」
「え?うん・・・」
「私、本当は・・・」
城ヶ崎は笹山のこの後の台詞に驚かない訳にはいかなかった。
藤木とその両親は清水駅に戻ってきた。そこに出迎えていたのは・・・。
「藤木君、お帰り!!」
「Hey,welcome back,藤木クン」
「リリィ、花輪クン・・・。只今」
「藤木君、ごめんね、昨日言えなくて。貴方の演技、とても最高だったわ」
「う、うん、君に初めてスケートする姿を見せてから今までの気持ちを全部表現したつもりだったんだ。今までは次に進むために金、銀、銅のどれかを獲りたいって思っていたけど、今度は違うよ」
「え?」
「君と約束したからね。卑怯を治す事とスケートで世界一になる事さ。だから今度は世界一だから目指すのは金メダルだけだよ」
「藤木君・・・。うん、頑張ってね!」
「それから、花輪クン」
「何だい?」
「カナダって英語を使うのかい?」
「ああ、それからフランス語も使う人もいるね」
「そうか、ならカナダに行く前に英語とフランス語を少しでも勉
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