報われない決意
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魔と化したグレイのことなど忘れているようで、一切後ろを振り向かずにいた。
「メイビスはアイリーンに任せればいいし、あとは雑魚ばっかりなのよねぇ・・・」
ナツや剣咬の虎のオルガ、ルーファスといった実力者を自らの手で葬った上に、ティオスと天海の活躍によりフィオーレの戦力も相当削られている。これ以上自分を楽しませてくれる相手はいないのではないかとヨザイネはつまらなそうにしていた。
ガサガサ
しかし、そんな彼女の考えを一蹴するものがまだ残っていた。
「あら?誰かしら?」
草むらから物音がしたためそちらを振り向く。そこにいたのは水色の髪をした小さな少年と、その後ろにくっついてきた焦げ茶色の猫。
「へぇ、まだこんなとっておきが残ってたのね」
アルバレスの魔導士たちは大半がある程度フィオーレの有力な魔導士のことを頭に入れている。そのうちのリストの中に、もちろんこの少年も入っていた。
「この子は私が始末しなくちゃダメよね。だって・・・」
自らを見つめ立ち止まっている少年をじっと見つめる。その目は明らかに嫌悪と怒りに満ちていた。
「あの子と同じ髪色・・・そしてドラゴンの子・・・生かしておく理由がないわ」
親の仇を見るような鋭い視線。少女のその表情を見たシリルの顔もキリッと引き締まった。
「間違いない。こいつだ」
誰に言うでもなく呟いたシリル。小さな少年と少女のぶつかり合い。何てことがない戦いとも思われそうな、この二人の戦いが後に戦場に大きな変化をもたらすことを、果たして誰が予想できただろうか。
その頃、アイリーンと対峙していたエルザとウェンディたちは・・・
「たとえお前が私の実の母親だとしても、ギルドへの道を塞ぐ者なら、斬るだけだ」
アイリーンはエルザの本当の母親だった。400年前に滅竜魔法を作り出したアイリーン。彼女はその影響で体が竜化してしまい、夫やその部下である兵隊たちから様々な人道に外れたことをされてきた。
そんな時に彼女のお腹の中にいたのがエルザ。アイリーンはその子を守るために必死に耐えてきたがあるとき夫である国の王からお腹の子を傷つけられそうになり怒りで覚醒、ドラゴンへとなってしまった。それからしばらく人間に戻ることができずにいた彼女だったが、通りかかったゼレフに元の姿に戻してもらい、今の姿を維持している。
しかし、それは完全に人間に戻れたわけではなかった。五感がほぼ失われてしまっていたのだ。人間として生きたい・・・いや、それ以上に人間としてお腹の子を産みたい・・・そう思っていた彼女だったが、精神的に追い詰められていた彼女は暴走した。
お腹の子に自らの魔法で自身の人
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