報われない決意
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いで目の前へと距離を詰めようとした。
「そっちが三つなら、こっちも二つを合わせるか」
そう言ったティオスの目が開かれると、それにローグの体は震えた。白と黒が反転した目はまるで悪魔のようだったからだ。
「氷天神の・・・吹雪!!」
軽く振るっただけの右腕。それなのに、ローグの体は浮き上がり、雪が混じった突風に吹き飛ばされてしまった。
「なっ!?これは・・・」
近くの木に叩きつけられてようやく止まる。その彼の瞳に映るのは、これまでの彼とは違う目をした青年の姿。
「何をそんなに驚いている。ちょくちょく見せてただろ?氷属性以外の魔法を」
神の子の周りに漂っているのは冷気だけではなくなっていた。銀色の風・・・それが一体何を示しているのかローグにはわからない。
「俺は氷属性だけを使うんじゃない。天空、それからもう一つ属性を有している」
「まさか・・・」
それを聞いてローグはあることを思い出した。ティオスが部下であるホッパーを仕留めた際、使用していた魔法の属性・・・
「その髪色・・・もしかして・・・」
そこまで言葉を言いかけた彼の腹部に重い一撃が叩き込まれた。予期せぬ衝撃に視界が歪む。そのままローグは白目を向き、意識を失ってしまった。
「ご名答だよ。もっとも、その回答を聞く気はないが」
膝を付き意識を失ったローグ。ティオスは彼にトドメを―――
「やれやれ、やっとシリルを追い掛けられるぜ」
刺すことなく、額に指を当て瞬間移動の準備に入った。
「それにしても、残念だったな。友の決意が報われることはないとは・・・まぁ、精々俺のために生き延びな」
そう言って瞬間移動でその場を後にしたティオス。彼は目を開けると、目の前にいる人物に話しかけようとした。
「追い付いたぜ、シリ―――」
しかし、彼は目の前にいた人物を見て目を丸くしていた。
「誰だ?お前」
そこにいたのはアイリーンから逃げてきた妖精の尻尾の魔導士たち。それを見たティオスは混乱状態から抜け出すことができない。
「バカな・・・なんでシリルじゃないんだ?」
辺りを見渡すがどこにも目的の人物の姿はない。予想外の出来事にティオスは唖然とすることしかできなかった。
「は〜あ、退屈ぅ・・・」
一方その頃ヨザイネは自分の見たかった仲間同士の潰し合いが満足の行く結果とならなかったことにガッカリしながらどこに向かうでもなく足を進めていた。
「あと残ってるのは私とティオス、それからアイリーンにオーガストかぁ」
アルバレス軍の中で残っている戦力を確認しながらこれからのことを考え始める。彼女は悪
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