新型旗艦
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の軍港に入れたところで、戦艦と宇宙空母ではそもそも修繕方法や整備方法に差異があるため、そのままでは使えない。
つまり、建造はできたところで満足な運用は難しい。
その点を指摘されれば、スタイナーは苦い表情のままではあるが、眼鏡の位置を直し、気持ちを落ち着けるように言葉を続ける。
「それは今後に同戦艦が増え次第、軍港基地を随時改修していくよう、来年度以降に予算を計上する予定をしている」
「失礼ながら新型旗艦を建造する傍らで、軍港の改修工事も行うと。どれくらいの予算がかかるか計算はされましたか。新しい動力機関の開発の何百分の一ですか」
「それは今後の経済政策……いや、やめておこう。こんなところで机上の空論を語ったとしても誰も喜ばない。そうだな、私もわかっている。これを上にあげれば私の仕事は終わるかもしれないが、その結果は誰も喜ばない現実だ。次の担当が四苦八苦するのが目に浮かぶ……手放しに喜ぶのは、新型旗艦に新しく乗れる提督くらいだろう」
その提督すらも喜ぶことはなかったのであるが、アレスは触れることをやめた。
代わりに、そもそもと接続詞をつければ、
「個人的には旗艦に戦闘力は求めていません。これ単体で突っ込んで戦うわけがありませんし、配下の艦隊がいることが前提でこその旗艦ですからね。むしろ旗艦が破壊された時のリスクを考えたら、攻撃力より防御力の方があったほうがありがたいでしょうし」
と、仕様書に添付されている完成予想イメージの写真を見ながら。
「これほど目立てば、いい的になりそうですよね」
飾りのない言葉に、スタイナーは大きくため息を吐いた。
返された書類を手にしながら、顔をしかめている。
「ここまで聞いたから、ついでに聞きたいが。マクワイルド中尉はどのような旗艦がよいと思うかね」
「新型の動力機関の開発は、どの道避けては通れないと思いますよ。仮に新型旗艦の動力を宇宙空母から転用したとしても、通常の戦艦に使えるわけではないですからね。まあ、全て大型にするというのなら話は別ですけど、大きさの違う戦艦が新旧入り混じっていればまともな艦隊運用もできなくなりますし、何より同盟側の利点である機動力を損ねるよりかは、電子制御や機動性をさらに向上させたほうがいいかと。個人的には防御力をもう少しあげてもらいたいですね。今のままでは一発被弾したら、大きな被害を受けますから。あとは」
そこでアレスは笑う。
そうしていれば、年相応の青年の印象をもたらした。
もっとも悪戯を楽しむような、悪い笑みではあったが。
「色がほとんど地味です。旗艦ですからもう少し目立っても問題ないかと」
冗談めかして答える様子に、スタイナーもつられて笑った。
「だが、それだと狙われやすくないか」
「もともと各艦隊に指令するため
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