新型旗艦
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に比して巨大なものだった。
戦艦というよりも、むしろ宇宙空母に近しい大きさであろう。
それがスタイナーの語った苦肉の策。
必要な出力を大きくするために新しい機関部を開発するのではなく、既存の宇宙空母のもの改良することを前提に作られたのだろう。
大型であるため、砲門数はこれまでの艦船の中で最も多く、それが多段式となって容赦のない攻撃を可能としている。
まさに戦闘力では折紙付き。
「とはいえ、私は軍の専門家ではないのでね。ここで本職の意見も聞かせてもらいたいと思ってね」
「そうですね。このまま上にあげても、そのまま開発までいけると思いますけどね」
微妙なニュアンスをもって、アレスは言葉を口にした。
だが、それにスタイナーはわずかにも喜びを浮かべず、逆に表情に苦みを浮かべる。
「遠慮はいらない。正直な意見を聞かせてもらいたい」
「上がまず見るのは、目新しさと費用でしょうからね。その点では戦闘力という利点もありますし、安く抑えていますからクリアしています。まあ、セレブレッゼ少将は苦い顔をされるでしょうけど、それでも許可は出されると思いますよ。そうなったら、あとは止まることなく、ぽんぽんとサインをもらって、開発までいけるでしょう」
スタイナーは大きく息を吐いた。
「マクワイルド中尉。実はこの案の段階で、セレブレッゼ少将にも見ていただいている。そこでもらった言葉は、君が言ったように同じような反応だった。これでいいというならば、サインをするがと……教えていただきたい、何がだめなのだろう」
「その理由はスタイナー技術少佐もご存知だと思いますよ。まあ……」
その戦艦のことは聞いてはいたが、実際に経験し、見ると問題点が大きく理解できる。
もっとも理解したところで、毎年かかる予算と人員の減少により、同盟はこれで進めるしかなかったかもしれないが。
「問題というか、問題以前というか。これ軍港に係留できないでしょう?」
+ + +
新型実験艦。
高出力のエンジンを備え、その戦闘力は同盟と帝国の中でも有数のものになるであろう。
実際に、自由惑星同盟が帝国に占領された際に、戦闘力を危惧されたある艦はバーラトの和約で解体される対象となった。
トリグラフ。
その名前をアレスは知っている。
だが、こうして実物の仕様書を見れば問題がないわけでもない。
いや、はっきりといえば問題だらけであった。
幅が広いため、被弾面積が大きいこと。
そして、何よりも既存の軍港に係留することが難しいということだ。
出力が宇宙空母並みであれば、幅まで宇宙空母並みにあるのである。
既存の戦艦用の軍港に無理に入れようとすれば、四つ折りにして折りたたまなければ無理だろう。かといって、宇宙空母用
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