新型旗艦
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を置いて、振り返れば、馴染みのない姿があった。
確か別室でアレスと同様に特別な任務を割り振られて、仕事をしていた。
そう考えて、ウォーカーと同じ少佐待遇の技官であることを思いだす。
まだ若く理知的な要望をした青年だった。
「何でしょう、スタイナー技術少佐」
「少し時間良いだろうか」
「ええ。ちょうど片付いたところで、どうぞ。少し汚いですが」
簡易椅子から書類をどかし、乱雑に並べられたファイルの山を片して、椅子をすすめた。
そんな様子に、スタイナーは苦く笑みを作りながら、椅子に座った。
「忙しそうだね」
「自分が何をしているか、たまにわからなくなりそうですけど」
「見ればわかるさ」
置かれた資料の山は多岐にわたる。
新装備の購入計画や、契約書、予算獲得の資料もあった。
スタイナーにしてもめまいがしそうな光景だった。
「だが、そのおかげで他の人は早く帰れるようになったと喜んでいたよ。ここと予算課は特に忙しい部署だからね。毎年体を壊す人が多いのだよ」
装備企画課は同盟全体の装備品を統括する部署だ。
その仕事は新装備の企画や配備計画、調達まで多岐にわたる。
だからこそ、他の後方勤務本部の中でもセレブレッゼのような有能な人間が配置されるし、階級も少将があてられている。
だからといって、体調を崩すほどまでに忙しい部署もどうかと思うが、人員の増員をしようにもどこも人手不足だ。
それは同盟全体にしても言えることであるのだが。
しかし、この忙しい部署にアレスを配置させるなど、フォークは本当に細かいところまで気が利くようだ。
体を壊せば儲けものとでも考えたのだろうか。
その配慮を違うところで活用してもらいたいものだが。
「忙しいところ悪いが、意見がもらいたい」
「ええ」
と、渡された資料を受け取れば、それは新造艦の仕様書であった。
細かなスペックや数値が記載されたそれを一読すれば、アレスの視線を受けて、スタイナーは言葉を続けた。
「私は昨年から旗艦級戦艦の更新作業を行っていてね。今の旗艦級戦艦が開発されてからもうずいぶん経っている。情報部では帝国が新型戦艦を開発しているとの情報を得たらしくてね。同盟も遅れないようにとの、政府の命令だそうだ」
そこでスタイナーは大げさに肩をすくめた。
「できるだけお金をかけずにという厄介な注文付きでね。で、残念なことに私が各部をまたいでの意見調整を行っている。今渡したそれが、科学技術部から先日あがってきた仕様書だ」
「それはご愁傷さまです。予算がないのがよくわかる仕様ですね」
「それだけでわかるとは、たいしたものだ。言い訳させてもらうならば、各部と妥協点をすり合わせた苦肉の策ではあるのだが」
見せられた資料は、過去の戦艦
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