暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
第5章:幽世と魔導師
第163話「まだまだ足掻ける」
[1/10]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話





       =out side=







「(……勝てない……)」

「(このままだと、皆が……)」

 時は少し遡り、フェイトの手によって司と奏が離脱させられている頃。
 薄れた意識の中、司と奏はぼんやりと現状を理解していた。

「司ちゃん!奏ちゃん!」

「後はお願いします」

 二人は後方待機していた那美に預けられ、フェイトは皆の元へと戻った。
 そして、結界が張られて戦闘が始まる。

「二人とも、しっかりして!」

 那美が二人に霊術を掛け、治療する。
 焼石に水のような効果だったが、それでもないよりはマシだった。

「……ぁ……那美、さん……?」

「無理に喋らないで!ただの傷だけじゃなくて、瘴気もあるんだから!」

 司が守護者に与えられたダメージは深刻だ。
 それに加え、瘴気も完全に祓えていない。
 奏は無茶が祟った分のダメージがほとんどだが、それでも守護者と戦ったため、瘴気の影響がない訳ではない。

「……皆は?」

「皆、あの結界に……。アリシアちゃん達と久遠も……」

「ダメ……守護者と戦ったら、死んじゃう……!」

 体を何とか起こし、近くの壁に背を凭れさせながら、奏が那美に聞く。
 そして、那美の返答に司が慌てたように言う。

「でも、司ちゃんと奏ちゃんが行く訳にもいかないでしょ!?」

「っ……」

 那美の言う通りだった。
 既に二人は一度戦闘不能に追い込まれている。
 何より、あまりの強さに心が折れかけていた。
 奏はともかく、天巫女である司には致命的な事だ。

「……だからと言って、このままだと全滅するよ……」

「ぅ……」

 司にそれを指摘され、那美も言葉を詰まらせる。
 一言で言えば、現状はほぼ詰んでいた。

「(……戦わないといけない。でも、恐怖で体が上手く動かない)」

 あまりに圧倒的な強さ。そして、虚ろな気配。
 そのせいで、司は守護者に対し恐怖を抱いていた。

「(……優輝君なら)」

 そして、だからこそ。

「(……優輝君なら、この状況でどうするんだろう?)」

 最も信頼している親友を頭に思い浮かべた。
 それが、司にとってトリガーとなるとも知らずに。

「(優輝君、なら―――)」

 





   ―――「任せた」







「ッ――――――!」

 そこで、ふと。
 決戦前の優輝の言葉を司は思い出した。

「(……優輝君は、私に“任せた”と言った。あの龍の対処だけじゃない。“もしもの時”を見越して……!)」

 その瞬間、司の思考が切り替わる。
 それは、戦いに赴く際の些細
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ