第5章:幽世と魔導師
第163話「まだまだ足掻ける」
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「(……勝てない……)」
「(このままだと、皆が……)」
時は少し遡り、フェイトの手によって司と奏が離脱させられている頃。
薄れた意識の中、司と奏はぼんやりと現状を理解していた。
「司ちゃん!奏ちゃん!」
「後はお願いします」
二人は後方待機していた那美に預けられ、フェイトは皆の元へと戻った。
そして、結界が張られて戦闘が始まる。
「二人とも、しっかりして!」
那美が二人に霊術を掛け、治療する。
焼石に水のような効果だったが、それでもないよりはマシだった。
「……ぁ……那美、さん……?」
「無理に喋らないで!ただの傷だけじゃなくて、瘴気もあるんだから!」
司が守護者に与えられたダメージは深刻だ。
それに加え、瘴気も完全に祓えていない。
奏は無茶が祟った分のダメージがほとんどだが、それでも守護者と戦ったため、瘴気の影響がない訳ではない。
「……皆は?」
「皆、あの結界に……。アリシアちゃん達と久遠も……」
「ダメ……守護者と戦ったら、死んじゃう……!」
体を何とか起こし、近くの壁に背を凭れさせながら、奏が那美に聞く。
そして、那美の返答に司が慌てたように言う。
「でも、司ちゃんと奏ちゃんが行く訳にもいかないでしょ!?」
「っ……」
那美の言う通りだった。
既に二人は一度戦闘不能に追い込まれている。
何より、あまりの強さに心が折れかけていた。
奏はともかく、天巫女である司には致命的な事だ。
「……だからと言って、このままだと全滅するよ……」
「ぅ……」
司にそれを指摘され、那美も言葉を詰まらせる。
一言で言えば、現状はほぼ詰んでいた。
「(……戦わないといけない。でも、恐怖で体が上手く動かない)」
あまりに圧倒的な強さ。そして、虚ろな気配。
そのせいで、司は守護者に対し恐怖を抱いていた。
「(……優輝君なら)」
そして、だからこそ。
「(……優輝君なら、この状況でどうするんだろう?)」
最も信頼している親友を頭に思い浮かべた。
それが、司にとってトリガーとなるとも知らずに。
「(優輝君、なら―――)」
―――「任せた」
「ッ――――――!」
そこで、ふと。
決戦前の優輝の言葉を司は思い出した。
「(……優輝君は、私に“任せた”と言った。あの龍の対処だけじゃない。“もしもの時”を見越して……!)」
その瞬間、司の思考が切り替わる。
それは、戦いに赴く際の些細
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