三十二枚目
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炉の管理人と総督がそんな事を言う。
「肝心な時に…私は…誰も…守れなかった…
私に…存在価値など…父である資格も…夫である資格すらも……」
父として、夫として…
私はミリキャスに誇れる父だろうか。
私はグレイフィアに誇れる夫だろうか。
私はリアスに誇れる兄だろうか。
私は父と母に誇れる息子だろうか。
私は、冥界の全てに誇れる魔王だろうか。
気づけば、目の前に彼が立っていた。
リリンを退けた雷光の息子が。
神々しい光輪と猛々しい翼をはためかせる彼が。
彼は、私にその錫杖を突きつけた。
「テメェは家族を囮にされて平気でいられるか!?
リアスグレモリーやミリキャスグレモリーを…グレイフィアルキフグスを囮にされて平気でいられるのか!
答えろ!サーゼクスグレモリー!」
あのとき、私は彼の逆鱗に触れた。
『あそこに居るのはリリンの孫なのだろう?
ならば奴がまたここに現れる可能性がある。
ちょうどいいエサになるだろう』
私は…彼の家族を見殺しにすると、そう言った。
言ってしまった。
私は…わた…し………は………
side out
「サーゼクス。サーゼクス。起きなさいサーゼクス!」
「……母上?」
グレモリー家の一室。
実家のソファーに深く身を沈めていた魔王サーゼクスは、母ヴェネラナの声に目を開けた。
「貴方がなかなか起きないとは珍しい。
貴方の体は貴方だけの物ではないのですよ?」
「…………ええ、わかっています母上」
憂いを漂わせるサーゼクスに、ヴェネラナは違和感を抱いた。
「何かあったのですか?」
「私は………いえ、なんでもありません…
私が一人で向き合わねばならない事ですから」
「そうですか。ならば私は何も言いません」
プライベートではお調子者なサーゼクスだが、こういった場合は頑固だと、ヴェネラナは知っていた。
「サーゼクス、今日は泊まって行きなさい」
「そうですね…急ぎの仕事はないのでそうします」
サーゼクスは母へにこやかに応えた。
「今日はちょうど例のカガリ・ヒメジマも来ていますから。
彼には冥界の未来を左右するような大役を任せているのでしょう?
魔王じきじきに労ってさしあげなさい」
魔王の笑顔が凍りついた瞬間だった。
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