第16話 魔人ケッセルリンク
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る。
「……そうだな。3代目の魔王。現在が8代目。現在、全ての魔王を比べる事は勿論出来ない、が。歴代の魔王たちに比べ、最も力が落ちていると伝わっている」
そう、ケッセルリンクにしてみれば不名誉極まりない伝わり方をしている。
魔王の中で最弱の魔王と呼ばれているからだ。見た目もそうだが、その力も。
彼女は人間から生まれた魔王で女だったから、と言われるかもしれないが……、同じく人間の魔王たちは何人もいる。初代と2代目以外はすべて人間の魔王だ。それらと見比べるとどうしても遅れをとってしまうのは、スラル以降の魔王に仕えてきたケッセルリンクだからこそ判る事だった。
だから、何よりも許せなかった。彼女を侮辱するかの様な言い方が。そう――あの時も怒りの感情が全面に出た。 そして……その後に、その後の彼の言葉に 全ての見方が変わったのだ。
「が、私の意見は逆だ」
「っ……」
そう、あの時も同じだった。
「力では確かに劣っていたかもしれない。……が、私は、彼女が最弱などとは思わない。彼女は 歴代の誰よりも優しい魔王だ。狂暴な魔王の血に、抑えきれない破壊衝動の中で 優しくあろうとした。………自身を貫いた。……そう魔王の血に打ち勝った魔王とも言えるのだから、な。……ふ、叶うのであれば、一度会ってみたいものだ。少なくとも、今の魔の王より会ってみたいかも、な」
同じだった。
最初は不思議な気持ちだった。人間に主の事を褒められた。ただそれだけの事の筈なのに湧き上がる気持ちがあった。ただの人間が、あの方の名を口にするだけでおこがましいとさえ思った筈なのに、ケッセルリンクは 抑えきれない感情を全面に出し、あの時 初めて……人間に首を垂れたのだ。
そして、今も同じ。
「……私は満足だ。重ね重ね、感謝する。……引き留めてすまなかった」
ケッセルリンクが再び頭を上げた時には、そこには誰もいなかった。気配さえも完全に消えていた。
「……あれで、本当に恍けれていると思っているのでしょうか」
「シャロン……。ふっ そうだな」
同じく、いつの間にか戻ってきていたシャロンがケッセルリンクの直ぐ横に控えていた。
シャロンだけでなく、他の使徒たちも同じく。
「う〜ん。どんなプレイを楽しもうと、彼の勝手〜 と言えばそうなんだけどさ。もうちょっと隠そうとする努力と言うか、何と言うか」
「だよなー。私らが判るんだから、あの子達なんか絶対判ってるだろうに」
「うん。……何か理由は当然あるとは思うけどー」
「……私の時も、見事に躱されてしまいました。違うと言われれば……仕様がないですよね。明確な証拠と言うものはありませんし」
其々が似た様な感想を口にする
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