第16話 魔人ケッセルリンク
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ケッセルリンク様のお傍に、いられて……私は幸せです。貴方のおかげで、私は今を生きています。……改めて感謝を伝えます。ありがとうございました」
俯きがちの表情に見えたのは、彼女ファーレン自身もゾロに会いたかった事。そして、今言う様に感謝を伝えたかった事だった。つまり、歓喜の感情が全面に出て 自身を上手くコントロールできなかったのだろう。
「あの時。ふむ……。成る程」
ゾロは、少しだけ考える素振りを見せた後、苦笑いをしていた。
「お前達魔の者たちは…… いや、人側も同じか。皆が私をあの男と思っている様だな。……ホーネットも然り。お前たちも」
ケッセルリンクはその答えを訊くと 同じく笑みを浮かべた。雰囲気は変わるが、殆ど表情が変わらない。それでもはっきりと笑っているのが見えた。
「そうだったな。……ここからは少し独り言をする。何故 君が隠すのか、そこについてはこれ以上は言わないでおこう。もう訊きもしない。ファーレンの感謝もここで打ち止めとしよう」
ケッセルリンクは、そう言い立ち上がる。
「だから、全てが明らかになる時。……その時を私にも教えて貰いたい。私はそう思っている」
「……………なら、私も独り言だ。――――了解した」
2人のやり取りを見て、ファーレンは思う。
「………(ケッセルリンク様……。自身の性については興味ない……と以前申されてましたが)」
そこはかとなく感じるケッセルリンクの変化を。
それを誰よりも感じているのが、仕えている使徒たち他ならないだろう。一番若いファーレンが感じるのだから、他のメンバーは特に感じている。だからこそ、嫉妬してしまう面も出てくるのだから。
又聞きではあるが、ファーレンもケッセルリンクが以前の姿……男性の姿になった理由は知っている。護る為に、護る騎士となる為に変わったのだと。
護る為に、男の姿となり そして 護る相手がいなくなってしまった今でも、その時の誓いは生き続けている。自身の大切な者たちを護る為に。無論、それはケッセルリンクの姿形が変わった所で何ら揺らぐ事はないだろう。何が一番大切なのか、判っているから。そして、その大切な存在と言うものが……きっと新たにケッセルリンクの中に芽生えた。幾星霜の時を生き続けて今まで――芽生えなかった感情が、今の時代……否、先の時代から。
「私は また、訊きたい話があるのだが」
「ふむ」
表情こそはいつものケッセルリンク。いつもの主。だが、やはり違って見える。
その変化が――ファーレンは嬉しくも感じていた。勿論、妬ける面はある。だが、嬉しい。その相手が この人だからこそ、より一層思うのだ。
「さて……、私はもう行く」
そんな
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