第16話 魔人ケッセルリンク
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表情が変わる事のない完璧なポーカーフェイス。
そして何よりもあの戦争時代でも人間界への侵攻は二の次で主に虐げられていた女性、カラーの保護を第一に考えている紳士でもある。男には一切の容赦はないが、好感の持てる敵だったとも言えなくないだろう。救われた者達も多数いたのだから。
だからこそだ。男であるゾロには基本会いたいと思われる理由が判らない。
その鋭利な爪から繰り出される《男死無双》と呼ばれている一撃は、相手が男である事が条件だが、喰らえば一撃で戦闘不能になる程だった。
先の時代での英雄とケッセルリンクとの一騎打ち。
最早伝説の1つとして密に今も語られているのはまた別の話。(因みに、ランスはその戦いと勝利について、色々と認めてなかった様だが、とある事情があって、そんな事はすっかり忘れてある意味ご機嫌になったりしている)。
「久しぶりの再会だ。シャロン達が用意したワインもある。……どうだ? 1つ付き合わないか?」
考えている最中。ケッセルリンクの視線を感じた。
闇そのものである……と言っても過言ではない者の闇からの視線はいやおうなしに感じられる。……が、害意の類は感じられなかった。
『いや、少々感じるな。まだまだ隠しきれてない。殺気……とまではいかないが、少々怖めのものが。……うん。あのメイドたちの何人かから』
「……それこそ理不尽だろう。信頼し、敬愛している主ケッセルリンクが、視線を向けている男。それだけを訊けば確かに判らなくもないが、当事者になれば理不尽と感じるな。まぁ 降りてみるか」
ゾロは、思う所は置いといて、とりあえず降りた。
勿論、無視していくこともできるが、ケッセルリンクが言う様に本当に久しぶりの再会だから、少なからず興味も尽きなかったのだ。
ゾロはゆっくりと着地し、ケッセルリンクが用意した(厳密には使徒たちが)テーブルの椅子についた。勿論、透明化を解除して。
「……ようこそ。招待を受けてくれて感謝する」
「ここまで用意されていればな。無碍にするのも気が引けると言うものだ。……が、やはり少々解せない。お前が私に気付いた点だ。如何に宵の闇。力を発揮できる時刻だとは言え、私を看破した理由が知りたい所だ」
ゆっくりと腰掛けるゾロ。そして対面に座るのがケッセルリンクだ。
軽くワイングラスを手に持ち、一含みした後、仄かな笑みを浮かべながら答えた。
「我が力……アモルの闇については知っているだろう? この闇の届く範囲は勿論限られているがね。その範囲に君が入ってきた。それだけ判れば後は容易だ。シャオン達にも手伝って貰っていたからな」
ケッセルリンクの能力の1つ。周囲を闇で覆う。それは屋内であっても変わらず、光の一切差さない暗黒の世界を創り上げる。
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