第三章
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「騎士団の者達も喜びましょう」
「よく女はどうと言うが」
「はい、確かに女は男に比べて力が弱いです」
「そうだな」
「その身体の造りから男に比べて戦に向いていません」
子を産み育てる、そうした身体だからだというのだ。
「ですが」
「それでもか」
「兵法を学び鍛錬と訓練に励み常に戦の用意をしておけば」
「女でもだな」
「戦えるのです」
こう王に答えた。
「私も騎士になってからそうしてきましたし」
「それでか」
「はい、騎士団もです」
今彼女が率いる彼女達もというのだ。
「そうしたのです」
「成程、要は常に備え学び鍛えることか」
「そうすれば女でもです」
「強くなるのだな」
「左様です、ではこれからも」
「戦ってくれるか」
「王の御為に」
「わかった、ではそなた達に名を与えたい」
王はビクトリエに厳かな声で告げた。
「薔薇騎士団とな」
「薔薇騎士団ですか」
「薔薇の様に華やかだ、そして薔薇の美しさに負けないまでに強い」
だからだというのだ。
「こう名付けよう、後で旗も与える」
「騎士団の旗も」
「その旗の下でこれからも戦うのだ、いいな」
「わかりました、それでは」
「うむ、これからも余と国そして民の為に戦ってもらいたい」
「おおせのままに」
ビクトリエは王に畏まって応えた、そして薔薇騎士団の名と赤薔薇の見事な旗を王から授かりそれからも戦い続けた。
薔薇騎士団は王国でも一二を争う騎士団として知られる様になった、もう誰も彼女達を女だからと言わなくなっていた。そしてビクトリエについてもだ。彼女はもう女だからと言われる見事な騎士団長と言われていた。恐ろしい薔薇騎士団の長と。
そしてこの日も訓練に励んでいた、そうして部下達に言うのだった。
「日々の備えと鍛錬、学問は怠るな」
「はい、それこそがですね」
「強い騎士団を築くからですね」
「そうだ、強くありたいならな」
それならばと騎士団の者達に告げた。
「常にそういったものを怠るな」
「わかりました」
騎士団の女達も応えた、誰もが騎士の顔をしていた。そこには弱さは微塵もなかった。
薔薇騎士団 完
2018・6・21
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