18部分:第二話 受験の場でその六
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第二話 受験の場でその六
そのまま二人で学校を出てであった。彼等の学校に戻る。
椎名はまずは赤瀬と一緒にいた。そのうえで彼の話を聞いていた。
「受かったのね」
「うん」
赤瀬はこう答えたのだった。
「僕はね」
「私もね」
そして椎名は自分から言った。
「どうだったか知りたい?」
「それでどうだったの?」
「それはね」
赤瀬の巨体を見上げてであった。そのうえで微笑んで左手を出してみせてだ。そのうえでピースサインをしてみせたのである。次の言葉は。
「これよ」
「合格したんだね」
「また一緒にクラス委員になるかもね」
「そうだね」
赤瀬は笑って彼女の言葉に応えて頷いた。
「こういうのって縁だからね」
「ええ。だから」
「それじゃあその時はね」
また言う赤瀬であった。
「宜しくね」
「うん、じゃあね」
「それとだけれど」
赤瀬の方からの言葉だった。
「ええと。君の塾でのお友達だけれど」
「つきぴーのこと?」
「あの娘はどうだったのかな」
このことを問うたのである。
「それで」
「それはね」
椎名はここでその月美を見た。見れば彼女は椎名のすぐ傍に立っている。そしてそのうえでその掲示板を見て確かめていた。
そしてだ。彼女は静かに呟く様に言った。
「あったわ」
「おめでとう」
まずは一言だった。
「つきぴー、おめでとう」
「有り難う、愛ちゃん」
「高校では一緒ね」
「そうね。同じ学校になれたね」
「ええ、これでね」
このことを言い合う二人だった。満面の笑顔になっている。
そうしてであった。彼等はそれぞれ話すのであった。
「じゃあ愛ちゃん」
「うん、つきぴー」
「あらためて宜しく」
月美からの言葉だった。
「これからもね」
「つきぴーもね。楽しくやろう」
「愛ちゃんがいてくれたらそれだけで楽しいけれど」
「私だけじゃないから」
しかし椎名はここでこんなことも言うのだった。
「それは」
「愛ちゃんだけじゃないって?」
「これから増えるから」
だからだというのである。
「つきぴーのお友達もね」
「そうなの」
「赤瀬だっているし」
椎名は今度は自分の横にいるその大柄な彼を見上げてみせたのだった。
「きっと他にも」
「他にも?」
「友達ができる」
こう月美に話すのである。
「だから安心していい」
「けれど私は」
「いじめる奴がいたら私がいるから」
その引っ込み思案の彼女への言葉だった。
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