179部分:第十三話 家へその十三
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第十三話 家へその十三
「部活だったのか?」
「そうなの、練習試合でね」
「そうか。バスケ部も大変だな」
「何言ってるのよ。剣道部なんて夏にあの防具でしょ?」
「ああ、それが?」
「そっちの方がずっと大変よ」
こう言うのであった。
「ずっとね」
「そうか?バスケ部だってさ」
「大変っていうの?」
「だって今日も練習試合だろ」
「剣道部だってあるでしょ、練習試合」
「まあな」
それはその通りだ。否定しなかった。
「それは何処だってさ」
「そうよ、何処だってじゃない」
星華はそれを言う。
「だったら剣道部の方が同じじゃない」
「そうなるかな」
「なるわよ。それでね」
「ああ」
「今日何処に行ってたの?」
「えっ、何処って」
「私服だし部活じゃないわよね」
それはすぐにわかった。学校に行くには絶対に制服、若しくはジャージだからだ。
「そうよね。遊んでたのよね」
「まあそうだけれどさ」
「それじゃあ何処なの?」
それをまた問うのであった。
「何処に行ってたの?」
「ああ、それは」
流石に月美のところに行っていたというのは憚れた。気心の知れた相手だから言ってもいいかとは思った。しかしここは、であった。
「あのさ」
「あのさ?」
「ちょっと美味しい店があるって聞いてさ」
「美味しいお店?」
「そう、カレー屋でさ」
こう言って誤魔化すことにしたのだった。
「カレー屋。あの御飯とルーが混ざってる」
「ああ、自由軒ね」
星華はそのカレーのタイプを聞いてすぐにこう返してきた。
「あそこね」
「知ってるんだ」
「有名よ。本店が難波にあってね」
「うん」
「あそこじゃ名物の一つになってるのよ」
「そうだったんだ」
「学校の授業で教えてもらったのよ」
星華は何故知っているのかまで言ってきた。
「ほら、現国の織田先生」
「ああ、あの痩せた」
「あの先生に教えてもらったの」
こう話すのだった。
「難波のカレーのことね」
「あそこってそんなに有名なカレーだったんだ」
「夫婦善哉って小説に出て来るんだって」
星華はこのことも話した。
「私はまだ読んだことはないけれど」
「夫婦善哉ねえ」
「書いたのは織田作之助」
月美はこのことも話した。
「その人らしいわ」
「織田作之助かあ」
「知ってる?この人」
「名前は聞いたことあるけれどさ」
月美からだ。それは教えられたことだった。
「あの人なんだ」
「何か大阪生まれで大阪を舞台にした小説が多いそうよ」
「大阪なんだ」
「斉宮も行ったことあるわよね」
星華はここで大阪の話に変えてきた。
「大阪は」
「あるよ、そりゃね」
「神戸からすぐだしね」
「賑やかだよな、あそこは」
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