八匹め
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小鳥の囀りが聞こえる中、シラヌイは眼を覚ました。
「知らない天井だ」
「自分の部屋じゃろうがアホかお主は」
「あ、おばあさ………何してるんですか」
シラヌイの右腕にタマモが抱きついていた……裸で。
「添い寝じゃが?」
「そうですか…」
タマモがシラヌイに絡ませていた手足を解き、ベッドから出た。
「さて、昨日の事は覚えとるかのバカ孫?」
「衛兵に無実の罪で捕らえられそうになったので障壁を張った所までは。
あと服を着てください」
シラヌイがサッと目を反らす。
「確りと覚えとるではないか」
タマモの居ない方を向きながら、シラヌイがぽつんと言った。
「ルルさんは無事でしたか?」
「無事じゃ。あのメイドには何の怪我もないわい」
「なら、よかったです」
タマモがシラヌイの頬をつねって、自分の方を向かせた。
「シラヌイ。お主記憶が戻った初日にやらかしおったな?」
「ふぁい…」
「仕方ないのでシェルムとブライには話したぞ」
シラヌイは黙り込んでしまった。
「そうですか…」
「シェルムは言っておったぞたとえ…」
「そうですか…」
「はぁ…」
一向に目を合わせないシラヌイに、タマモはため息をついた。
「お前の両親は、お主に前世の記憶があったとしても自分達の子供だと言うておったぞ」
「それは、ありがたい話ですね」
「朝食まではあと一時間ほどあるからの。
ま、落ち着いたら下りてくるといい」
タマモが部屋に掛けてあるアーティファクトを指差して言った。
「わかりました」
「では服を着てくるでな。すぐ戻る」
シラヌイの部屋から出たタマモは、久しく感じていなかった疲労感に意識を向けた。
「エナジードレイン…成る程名前通りじゃな」
タマモが裸で添い寝をしていた理由は、肌の接触面を増やす為。
「はてさて、シラヌイはあれを使いこなせるのかのぅ…」
シラヌイが生まれたその日に、タマモはシラヌイに封印を掛けた。
エナジードレインというスキルに対してだ。
昨日その封印を解き、シラヌイに触れると魔力を奪われる事をタマモは確認した。
それを使い、シラヌイに魔力を供給していたのだった。
タマモが裸で屋敷を彷徨いていると、ブライと出くわした。
「うわっ!?お義母さん!服!服!」
ブライは顔を背けた。
その長い耳は真っ赤になっている。
「なんじゃこんな体にそんな顔を赤くしおってからに。
お主ら親子揃って免疫無さすぎじゃろ」
「い、いいから服着てくださいよお義母さん!」
「持っとらん。今から取りに行く所じゃ」
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