猫娘と期末試験編
NO.058 期末試験 四回戦目
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『みんなと同じ時間を過ごしたい……みんなと笑って泣いて、一緒に歳をとってできることなら子孫に見送られながらも楽しかったと思える一生を過ごしたい』
というもの。
だが、それには出久の生命力の膨大な多さが邪魔をしてきている。
聞けば、人一人を生命力で治すのには軽傷のものなら一日か二日分の生命力を与えれば完治が可能。
重症の者なら一週間から二週間くらいの生命力。
命の危機に関わるものならば一か月分くらいの生命力を与えればなんとかなる……。
だが、逆に言ってしまえばそれだけしか消費されないのだ。
以前に常闇が言っていた。
『それに、呪い……言いえて妙だが、例の猫の罪滅ぼしとは聞こえは良いが……結果的には誰かが傷つかないといけない、不幸な目に合わないといけない……ヒーローとは本来誰も傷つかない事を望まないといけないというのに、この矛盾っぷり……茨の道と言わざるを得ないな』
それはとても真に当てはまる言葉だった。
出久は生命力を使い続けて治療し続けなければ、いつになっても死ぬことが出来ない……。
フォウもそうだったように自殺を図っても、体が勝手に修復されてしまうのだ。
人間の一生は百年くらいと言われる現代で、出久は最悪その数百倍の時間を生きなければいけない。
普通なら気が狂いそうな……絶望してもし足りないほどの運命だ。
なのに、出久はすんなりそれを受け入れてしまっていた。
―――心が強い。
八百万はただただそう思うしかなかった。
できることなら出久の目標を自分たちが生きている間に成し遂げさせてあげたい……。
しかし、現実的に見て無理かもしれない……という諦め感も否めない現状で、
「(それなら緑谷さんが早く生命力を使いきれるようにサポートする事も友として当然ですわ!)」
その思いが八百万の心に変革をもたらしていた。
哀れみから来る思いでは無い。
純粋に出久のためになるであろう事をしたいと、八百万の中で自分の将来の役割が決まりつつある決定打だった。
ゆえに、
「こんなところでくよくよとしていられませんわ!」
「うぉっ……!?」
と、今現在轟とともに相澤から逃走中の住宅街エリアでかくれんぼの様な事をしつつもそう叫んでいた。
轟はそんな八百万に対して、
「なんだかわかんねぇけど、前まで少しだけあった自信の喪失さはもうなさそうだな……」
「はい! そして相澤先生に対してばっちりな対策がもう出来上がっています!」
「ほう……話してみてくれ」
「はい!」
それで話し合う二人。
というのも、すでに一回相澤とはエンカウントしていたために、轟による大氷河によって個性を消されない範囲まで逃亡を図る事に成功した後のこの発言。
轟も聞かないわけにはいかない。
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