第二章
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「お稲荷様から神託を受ければ」
「あの方からか」
「そうです」
老狐は七草に答えた。
「あの方ならば必ず教えて下さるでしょう」
「そうだな、あの方のお力は絶大だ」
七草も稲荷明神の力は知っていた。
「本朝の神々の中でも相当なお力を持っておられる」
「我等狐の神でもあられるので」
「こうした時はだな」
「あの方のところに行かれるべきです」
「わかった」
七草は老狐の言葉に頷いた、そしてだった。
稲荷大社に僅かな家臣達を連れたうえで赴きそこで神託を受けた、七草は大社の最深部大社でも僅かな者達だけが知っている稲荷が座すその場所に入った。そしてだった。
そこに座して稲荷の神託を受けることにした、すると全身が白く輝く巨大な狐が姿を現わした。その狐こそがだった。
「稲荷明神様ですね」
「左様、そなた大尾家の現在の当主だな」
「はい」
七草は稲荷に畏まって答えた。
「大尾七草と申します」
「そなたのことは知っている」
稲荷は七草の名乗りに応えて述べた。
「何故ここに来たのかもわかっている」
「左様でありますか」
「そうだ、大尾家の九つの秘伝のうちのだな」
「私は七つ備えています」
七草は今は普段の恰好ではない、上は白下は赤の巫女の姿で身体を清めたうえで稲荷の前に正座している。そうして話しているのだ。
「しかしです」
「残り二つだな」
「はい、使い方はわかっているのですが」
「力が出ないのだな」
「そうなのです、どうしても」
「それはだ」
ここでこう言った稲荷だった。
「そなたの力が覚醒していないからだ」
「力がですか」
「そうだ、その二つの秘伝を使うべき力がな」
それがというのだ。
「目覚めていないのだ」
「それでなのですか」
「そなたは残る二つの力を使えないのだ」
「そうだったのですか、では」
「修行をしても魔物を退治しても無駄だ」
稲荷は七草が言う前に告げた。
「それでは確かにそなたの力は増すが」
「それでもですか」
「覚醒には至らない」
残る二つのそれがというのだ。
「その覚醒は封印の様なものだ」
「封印ですか」
「そなたの血は確かに薄い」
狐、大尾家のそれはというのだ。
「しかしだ」
「それでも残る二つの力もですか」
「大尾家の血、当主の座にあるのならな」
「使えるのですか」
「必ずな、しかしだ」
「覚醒しなければですね」
「使えはしない」
その力はというのだ。
「決してな」
「では覚醒するにはどうすればいいのですか」
七草は稲荷に問うた、威厳に満ちているが穏やかで癒す様な声で語る偉大な神に。
「私は」
「探すのだ」
「探すのですか」
「そなたには一つ足りないものがある」
「足りないものですか」
「
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