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FAIRY TAIL〜水の滅竜魔導士〜
白幻影竜
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「知ってるだろ?魔法は死んでからだと取り出すのが簡単なんだ」

それを聞いた瞬間、ローグは彼が何を言いたいのか察知した。

「俺にお前の魔法を使えっていうのか?」

スティングの作戦、それは自身の力をローグに授けること。二つの属性が合わされば、シリルの水天竜、ナツの雷炎竜、ガジルの鉄影竜のような強い力が手に入る。だが、それだけでは終わらない。

「それだけじゃない・・・お前には内緒にしてたけど・・・」

そう言って彼が取り出したのは、紫色のガラスの欠片・・・

「それは・・・グラシアンの・・・」

スティングが手にしていたのはグラシアンの体内に埋め込まれていた滅竜魔法の魔水晶(ラクリマ)の一部。グラシアンが息絶えた時、彼の体からその欠片がわずかだがこぼれ落ちたらしい。それをキセキが持っており、スティングが気を失った際に手渡していたそうだ。

「俺たち三人の力を・・・合わせるんだ。そのために・・・俺を・・・」

何をするべきなのか、もう彼はわかっている。自らの手で友を殺し、彼の魔法と大切な友の形見を手にして戦う。しかし、それはあまりにも残酷な願いだった。

「俺に・・・そんなこと・・・」

友にトドメを刺すことなんかできるはずがない・・・ローグはそんな選択をできる男ではなかった。

「やれ!!ローグ!!」

決断できない彼に力を振り絞り声をあげる。その次の一言が、影竜の心に突き刺さった。

「俺とグラシアンのために!!」

その瞬間、ティオスを道連れにしようとしたグラシアンの勇敢な戦いぶりが頭を過った。自分にできることは、もうこれしかない。

「うああああああああ!!」

迷いを振り払うため、声を上げながら友の体を貫く。ずっと同じ道を歩んできた友に命を託したドラゴンは、笑みを浮かべていた。

「スティング・・・グラシアン・・・」

ゆっくりと立ち上がる影竜。その全身から溢れ出る魔力はこれまでの黒一色ではない。

「必ず・・・こいつは俺が仕留めてみせる」

白竜、幻竜、そして影竜、三頭のドラゴンの力をその体に宿したローグ。目から零れ落ちる涙を拭うこともせず、その男は目の前の敵を見据える。

「ふふっ、これはこれは・・・」

これまでとは比べ物にならないほどの魔力。それを敵意を剥き出しにして向けてくる影竜を見たティオスの顔に焦りはない。

「何とかシナリオを戻せたか?」

それどころか、笑みを浮かべ目の前の敵を見据えていた。まるでこの瞬間を待ち望んでいたかのように。



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