白幻影竜
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スクスと笑いながら、敬意を払うつもりなど一切ないヨザイネ。リオンはそんな彼女に対し、ある言葉を呟いた。
「なぁ、知っているか?」
「あら?何をかしら」
「この世で一番輝ける瞬間は、死せる時なんだ」
そう言った彼は氷の鎧を作り上げ、自らの体を包み込む。インベルが使った氷絶神衣のように。
「グレイ、俺はお前の足元にも及ばない。だが、ジュビアのためにお前を止めなければならないんだ!!」
手加減など一切なしに飛び込むリオン。全身全霊の拳が叩き込まれようとした。しかし・・・
グサッ
彼のそれが届くよりも先に、グレイの拳が体を貫いた。
「がっ・・・は・・・」
腕を引き抜かれ地面へと叩き付けられる。青年はなおも諦めずに戦いを挑もうとした。しかし、限界を迎えていた肉体は言うことを聞かず、地面に崩れ落ちるしかなかった。
「あら、呆気ないわね。それが最期の力だったのかしら?」
一撃での決着につまらないといった表情のヨザイネ。彼女は見たかった出来事が終わったからなのか、興味をなくしたようにその場を後にした。覚醒したグレイを一人残して。
尻餅をついたまま動かないラクサス。いや、動かないのではない。動けないのだ。ティオスの放つプレッシャーのあまりの大きさに恐怖を覚え、体がすくんでしまっている。
「恐怖で心が折れたか?腰が抜けたか?お前は所詮の程度だったってことだ」
これだけ言われても、プライドが高かったはずのラクサスが反論することができない。それだけ目の前の青年の魔力が巨大化しており、なおも留まることを知らないのだ。
「・・・最後に一つだけ教えてくれ」
「なんだ?」
「なぜ・・・お前はこんなことをする?」
震える口からはそう言うことが精一杯だった。絶望を目の前に戦意を喪失した彼の最期の問い。ティオスはそれに笑いながら答えた。
「俺はお前たちに未来を託した。だが、それをお前たちは守れなかった」
「だったら!!お前の今の行動は間違ってるんじゃないか?」
ティオス・・・いや、レオンは自らを犠牲にして戦い命を落とした。だが、その後、彼が抜けたフィオーレは恐らく敗北へと向かっていったのだとその場にいた全員が感じ取った。しかし、それならばなぜ彼はフィオーレ側ではなく、アルバレス側に付いたのか、それが解せない。
「間違っているよ。人としてはね」
「は?」
何を言いたかったのかわからなかった。彼は意味を理解できないままのラクサスの頭に手を乗せる。
「話は済んだかい?じゃあ、サヨナラだ」
「待て!!まだ終わ―――」
それ以上の会話は、ティオスにとって必
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