第二章
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「いい人は幸せに生きるべきじゃ」
「私は戦場にいて戦ってきたわ」
「そして多くの敵を倒してきたか」
「結構血生臭いことをしてきたけれど」
「戦はそんなものだ」
男は自分の言葉を否定しようとするガリィナに笑って返した。
「別におかしくはない」
「そうなの」
「戦の場では戦うのは誰でもだ、問題は心だ」
「私は心がなの」
「いい、そんな人間はな」
「幸せになるべきなの」
「そうだ、だから西に行ってな」
島国生まれの彼のところにだ。
「そしてだ」
「幸せに生きるべきなのね」
「その店は今は人手が足りない」
「そこで働けばいいのね」
「そうしろ、それからは御前さん次第だ」
男は笑って言った。
「わしの仕事ではなくフライアの仕事になるか」
「フライア。女神ね」
「そうだ、だが御前さんはとにかくな」
「西に行くべきなのね」
「そうするといい、いいな」
「わかったわ、そうさせてもらうわ」
ガリィナは男に素直に答えた。
「是非ね」
「そうするのだ、わしは若し御前さんがわしの勧めを断ったら」
「その時はどうしていたのかしら」
「わしの館に来てもらおうと思っていた」
「貴方の」
「そうだ、戦いの果てにな」
「戦いの果て。貴方は」
「ははは、只の旅人だ」
男は自分をこう言った、それも笑って。
「それだけだ」
「それは嘘ね」
「一つ言っておく、わしは嘘も好きだ」
嘘を言っていることを隠しもしなかった。
「そして人の争いもな」
「それはどうしてかしら」
「戦になるからだ、そして死んだ者がわしの館に来るからな」
「だからなのね」
「わしは御前さんが若しな」
「西に行くと言わないで」
「このまま賞金稼ぎをするのならな」
そうして戦い続けるというならというのだ、賞金稼ぎも戦っているということだ。
「そう考えていたが」
「それがなのね」
「違うな、ならいい」
「私はその館には行かないのね」
「戦う気はないのだな」
「ええ、彼のところで働けるなら」
それならとだ、ガリィナも答えた。
「いいわ」
「ならいい、後は幸せに過ごすだ。館に来る者は誇り高い様で実は結構悪い者が多いのだ」
「そうなの」
「御前さんみたいな者が来るにはちょっと都合が悪い」
「それで私に話しかけてきたの」
「酒を楽しむ為にもな」
「成程ね」
「ではな、わしはこれで帰る」
ビールを飲み終え塩辛も食べ終えた、それでだった。
「達者でな」
「ええ、それではね」
ガリィナは男と別れの挨拶を交えた、そしてだった。
男が去ってからも飲み続け満足したところで勘定を払って西に向かった。そして以後は彼の店兼自宅で暮らした。やがてあの男のことを知ったがそうだったのかと思う位だった。ただそれだけの
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