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空に星が輝く様に
177部分:第十三話 家へその十一

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第十三話 家へその十一

「帰らせてもらうよ」
「わかりました。じゃあ」
「じゃあね」
 陽太郎はまた笑顔で話す。
「帰らせてもらうよ」
「送らせて下さい」
 それならせめて、という感じでだ。月美は言ってきた。
「駅まで」
「えっ、駅まで」
「はい、駅までです」
 そこまでだというのである。
「遅らせて下さい」
「そんな、悪いよ」
「いいですから」
 月美も何時になく引き下がらない。
「ですから」
「駅まで。いいの?」
「はい、御願いします」
 こうも言ってきた。
「それで」
「わかったよ」
 そこまで言われてだった。陽太郎も遂に頷いたのだった。
「それじゃあ」
「そういうことで御願いします」
「今から帰るけれどいい?」
「はい」
 今度はにこりとした笑みになっていた。
「今からですね」
「うん、今から」
 こう話してであった。二人で家を出て帰路につく。夏なのでまだ日は高い。かろうじて夕方にもなっていない。そんな中でまた話をするのだった。
「あの」
「あっ、何かな」
 月美からの言葉に応える陽太郎だった。赤くなりかけている世界の中で。
「それで何かな」
「私のお家どうでした?」 
 これが彼女のここでの問いだった。
「それで」
「ああ、西堀のお家のこと」
「楽しんで頂けました?」
 こう彼に問うのだった。
「それで」
「うん、かなりね」
 実際にそうだった。陽太郎は素直に答えた。
「凄くいい家だよね」
「じゃあまた来て下さいね」
 笑顔で話す月美だった。
「近いうちに」
「いいんだ」
「遠慮しなくていいですから」
 俯いていた。真っ赤になった顔を見られたくないからだった。陽太郎も顔が赤い。そして彼もやはりその顔を赤くさせてしまっていた。
「また来て下さい」
「けれど悪いよ」
 陽太郎はその赤くなった顔で申し訳なさそうに告げる。
「それは」
「そうですか」
「それならさ」
 そしてだ。彼は言うのだった。
「西堀の家とは比べ物にならないけれどさ」
「はい?」
「来てよ」
 誘いだった。明らかな。
「俺の家にさ。親父とお袋いるから」
「斉宮君のお家にですか」
「うん、よかったら来て」
 こう話すのだった。
「俺の家にね」
「それでいいの?」
「いいよ」
 月美に対して話すのだった。

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