機動戦士ガンダム
2081話
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まではいかないが、敵意の類でも持っていれば、俺も何らかの対応は出来たのだろう。
だが、女には俺に不審さを持ってはいても、害意の類は全く抱いていない。
だからこそ、その女が俺に触れるのを防ぐような事はせず……そして次の瞬間、周囲には宇宙が広がった。
いや、俺の姿が宇宙に移動したという訳ではなく……そう、例えば俺の精神のみが宇宙に見える、どこか別の異空間に移動した、と表現するのが正しいのか。
そして不思議な事に……それでいて俺にとっては幸運な事に、この空間に精神が入った瞬間、俺の中にある強烈な頭痛は綺麗さっぱりと消えていた。
俺が女を認識するのと同時に、女もまた俺を認識する。
この宇宙空間のようにも見える場所に、俺と女……いや、この空間に入った瞬間に、俺は目の前の相手が誰なのかを理解していた。
同時に、女……セイラ、もしくはアルテイシアもまた、俺の事を理解していた。
どのような理由でかは分からないが、俺とセイラはこの空間の中でお互いを理解しあい……やがてセイラが何かを言おうとすると、その顔が苦しげに歪む。
俺がそんなセイラに何か声を掛けようとした瞬間……俺とセイラ2人だけの異空間とも呼ぶべき場所は消え、周囲には普通にざわめきがある。
あの空間の中にいたのが俺とセイラだけだった事もあり、どうやら、あの空間について認識していたのも俺とセイラだけだったらしい。
そしてこの世界に戻ってくると、俺の中にあった頭痛は綺麗さっぱり、それこそまるで先程までの激痛が夢だったのかと思う程に消えていた。
……ただし、その代わりに俺の肩に手を置いていたセイラは先程の俺と同じような感じで頭痛を堪え、俺の隣に座り込み、身体を俺に委ねている。
「う……」
「セイラ、大丈夫か? おい、セイラ」
俺の中にあったこの世界、ガンダムという原作の記憶の殆どは消えて虫食い状態……よりも更に酷い状態になっているが、それでも俺に体重を預け、17歳にしてはゆかりに勝るとも劣らぬ程に女らしい身体を俺に押しつけているのが誰なのかというのは、きちんと覚えていた。
だが……ちっ、どうする?
今はまだ周囲にいる面々はジオンについてのニュースに注意を向けている者が多く、こうして地べたに座っている俺とセイラを気にしている者は多くはない。
……多くはないという事は当然のように何人かはいる訳で、別に公園でも何でもない普通のアスファルトに俺とセイラような2人が座っているのは、当然目に付く。
取りあえず、どこか公園にでも……
「あっちよ」
俺が何かを言うよりも前に、セイラはそう言い、俺が歩いてきたのとは別の方向を指さす。
俺が何を言いたいのか、雰囲気か何かで感じたのか?
「公園があるのか?」
「……ええ。そこに行きましょう」
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