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銀河英雄伝説〜生まれ変わりのアレス〜
セランVSライナ 後編
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「二学年に指令」
 コンソールを叩けば、すでに目の前の艦隊は射程の範囲内だった。
 苦い顔をしながら、セランはそれでも笑顔を忘れない。
「ファイヤー!」

 一斉に光の花が咲く。
 待ち構えていたといっても、敵も馬鹿ではない。
 この地点まで最速で来て、その後に戦闘態勢に移行しながら、長蛇の形をとっている。
 形を作るならば、Iであろう。
 四学年生を筆頭としながら、ただ真っ直ぐに目指すのは本拠地だ。
 数で劣るセランは包囲をとることができない。

 薄い場所があれば、一気に本拠地まで抜かれる。
 セランは、後方に来る一学年を最後尾にして、密集の形を作った。
 花開いたのは両軍からの光の花だ。
 両軍から放たれる攻撃は、確実に味方を、敵を穿っていく。
 敵から撃たれる攻撃は、密集している艦隊に激しく激突していく。

 だが逆にこちらの攻撃は、敵の先頭を穿つばかりだ。
 その後ろからは、まるでイナゴの様に新しい艦隊が生まれ攻撃を繰り返す。
 だが、それでも動きは止まった。
 クローラー艦隊の侵攻がとまり、後方に待機していた艦隊がそれぞれ左右に広がっていく。右翼に四学年と一学年が、左翼に三学年と二学年が広がり出れば、袋を絞り込むようにセラン艦隊を左右から包囲していく。

 セランの耳に、指示を求める悲鳴のような一学年の声が響いた。
「このままでは持ちません。撤退を」
「撤退してどこに行くんだ、コービー」
 一学年生の言葉に、呆れたようにセランが返答した。
 口にはしなかったが、きっとアレスで先輩が受けた被害はこの比ではないぞと。
 とはいえ、撤退を考えるくらいに艦隊は大きな被害を受けているということだ。

 あと十分もすれば後方から味方が押し寄せてくるわけであるが、それすらも考えつかない状況であるのだろう。敵がこちらを包囲するために鶴翼の陣形を作り始めたことも、その理由の一つかもしれないが。
「全艦隊ゆっくりと後退……敵陣営を本拠地の防衛設備まで引きずり込め」
 敵への攻撃を続けながら、セランはコンソールを叩いていった。

 青の光点がゆっくりと下がる。
 それは一見すれば、押し寄せるクローラー艦隊の攻勢に押し込められたように見える。
「まだまだ甘いな。引きが強すぎる。演技が下手だ」
 ヤンとアレスの会話に目を白黒させていたアッテンボローが、胸をそらしながら言った。
 さすが撤退戦の名手。

 アレスは心の中で呟いた。
 事実過半数の人間は、その動きに騙されているのだろう。
 クローラー艦隊も、さらに重圧を強めていった。
 砲撃可能範囲にセラン艦隊が入り、続いてクローラー艦隊が侵入した。
 刹那。

 セラン艦隊が動いた。
 攻撃をやめて、引きずり込むように後方
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