セランVSライナ 後編
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セランを逃したところで、本拠地を落とせば勝負は決まる。
確かに本拠地からの攻撃は、確実にクローラー艦隊をとらえるであろう。
だが。
それがあっても、本拠地の攻略は確実に見えた。
最後まで追っていたライナの艦隊が停止し、本拠地への攻撃を開始した。
本拠地のゲージが減り、どんどんなくなり、誰もがクローラー艦隊の勝ちを想像した。
本拠地から砲撃が吠えた。
最後のあがきとばかり、それは一部の艦隊に大きなダメージを与え、陣形が崩された。
だが、それで攻撃が終わるわけではない。
本拠地への攻撃は一層に力を増すばかりだった。
「あー。それはひどい」
のんきな声をあげて、アレスが苦い顔で呟いた。
+ + +
二学年がまっすぐ走れば、間に合うのは最後になっただろう。
一番遠くから、本拠地を迂回して戻ってくる距離を考えれば間違いない。
だが。
惑星は引力を持っている。
いや、惑星と名がつくものだけではない。
巨大な球体上の物体には等しからず、引力が発生するのだ。
それは彼らの乗る艦隊にも利用され、疑似重力という形で当たり前になっている。
現代でも衛星や惑星探査機の加速のために使われている。
セラン艦隊は後退した。
そして二学年は。
通常のコースをたどれば、最後となるだろう距離。
だが、二学年は斜め前方から本拠地に対して、突入をした。
それは。
スイングバイ。
アレスが見ていたのは、目立つ艦隊戦ではなく、その後方から近づく二学年の艦隊だ。
誰もがクローラー艦隊、セラン艦隊を見ている。
当事者であれば、なおさらであろう。
誰が想像しただろうか、本拠地を迂回して正面から接近するのではなく、斜めから本拠地に突入し、加速度をもって、本拠地を周回する動きを。
まさに三百六十度。
おおよそ本拠地一周分の十分な加速度をもって二学年の艦隊は、クローラー艦隊の後方に突っ込んだ。
+ + +
残すところわずか。
クローラー艦隊に打撃を与えたのは、そんな一瞬だった。
後方からの突然の一撃に、後方にいた二学年、一学年の艦隊はなすすべもない。
ついで、動き始めたのは、セラン艦隊だ。
後方から押されて陣形が崩れた動きに、合わせるようにして前方から圧力を加えていく。
前後から圧力を加えられて、クローラー艦隊は大きく崩れた。
ライナ艦隊は前方で耐えている。
だが、後方を襲われた一学年と三学年はもはや艦列をなしていない。
数で劣る二学年が一方的に蹂躙する。
見学者の誰もが声を殺して、それを見ていた。
クローラー艦隊が迷ったのは一瞬。
わずかな硬直ののちに、意思を持った動きとなった。
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