セランVSライナ 後編
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――本拠地の斜線からずれたのだ。
+ + +
「ほう」
どこか楽しそうに呟いたのはヤン・ウェンリーの言葉だ。
セラン艦隊が動くや、予知していたようにライナ艦隊が滑り込んだ。
相手の動きに同期して動き出す。
まさにライナ・フェアラートだからこそ行えた行動だろう。
他の誰も――それが例えヤン・ウェンリーやアレス・マクワイルドですら、ここまで完璧に――一秒の狂いもなく行動することはできない。
まさにそれは機械的に、斜線から引いたセラン艦隊に食らいついた。
並行追撃作戦。
ヤンが先ほど言った言葉が、スクリーンの中で生まれている。
ライナの艦隊に合わせるように、クローラー艦隊はそれぞれセラン艦隊に肉薄する。
振り切ろうとしても、振り切ることができない。
両軍が入り乱れる様子に、本拠地からの攻撃もない。
「端的にどちらとも無様と申し添えておきます」
筐体の奥で、小さな声が漏れ出た。
それは艦隊戦からすれば無様な様子であろう。
このような状況であれば、戦術や艦隊の動作など皆無に等しい。
ただ撃ち、撃たれ、被害だけが拡大していく。
だが、そうなれば有利になるのは数で多いクローラー艦隊だ。
劣勢のセラン艦隊だけではなく、本拠地に対しても攻撃が始まった。
本拠地の体力を示すバーが次第に下がっていく。
たとえ後方から援軍が到着しても、現状であれば援護すらも難しいだろう。
背後をとって撃った場合にはセランの艦隊もまたダメージを食らうのだから。
決まったかと多くが感じる中で、テイスティアだけがじっとスクリーンを見ていた。
その目は、どこか楽しそうで。
そんな様子にアレスは微笑、再びスクリーンに目をやった。
セランの艦隊は持ちこたえている。
おそらく味方が到着するまで防戦したいのだろう。
だが、いくらセランと一学年が頑張ったところで、数の利は明らかだ。
次第に圧力を増す中で被弾数が多くなり、対照的にクローラー艦隊は本拠地への攻撃を継続していく。
味方が到着するまで、本拠地を維持するのは難しい。
ゆっくりと、圧力に押されて、セラン艦隊が後退していく。
それは雑然というよりも、むしろ意思を持った後退だ。
本拠地にそって動く、攻撃よりもむしろ移動を重視した――いわば、逃げだ。
その速さにクローラー艦隊に動きにむらが生まれた。
セランを追うべきか。
あるいは、本拠地を攻略すべきか。
ライナ艦隊はセランを追う選択をしようとしたのだろう。
セラン艦隊の先頭に食らいつくように、艦隊を進めている。
だが、その多くは本拠地の攻略へと動いた。
本拠地の体力のゲージはすでに半分を切っている。
仮に
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