第85話 後始末は自分の手でつけるのが世の中の鉄則 その5
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が、今はそんな大人な演出を楽しんでいる場合じゃないのはザッフィー自身が一番理解していた。
そう、今彼の手で握られているのは、紛れもなく彼女『パンツ』だったのだから―――
「い・・・・・いぃ・・・・・いぃぃ・・・・」
「い、いや・・・これは・・・・その―――」
最早、どんな詭弁も言い訳も手遅れとしか言えなかった。それは、言葉が全く出て来ないザッフィーが一番理解しているのだろうから。
そして、この後起こり得るであろう惨劇もまた、薄々とだが感じ取る事が出来た。
「いぃぃぃやああぁぁぁぁ――――――――!!!」
彼女の口から発せられる甲高い悲鳴。そして投げ付けられる備え付けの家具の数々。
中にはタンスや電気スタンドと言った割と高そうな代物がちらほらあったように思えるが、そんな事を一々気になどしてはいられなかった。
投げつけられる家具から急所を庇いつつ、急いで部屋を飛び出し、内部構造が分からないままがむしゃらに家屋内を走り回り、階段を転げ落ちて外へと飛び出す。
外では殆どの住人が活動を開始しだした時刻だったらしく、大勢の町人達が横道を歩いている。
そんな場所にパンツ一丁の男が飛び出してきたのだから忽ち横道は大騒ぎとなる。
だが、今のザッフィーには周囲の女子の悲鳴や男のざわめきなど耳に入りはしない。
此処が何処なのか一刻も早く把握する為に、自分が出て来た建物を振り返って見上げた。
「・・・・ホテル・・・・『一夜の過ち』・・・」
其処には何処となくアダルティックな文字でそう書かれた看板が掛けられていた。
だが、そんなアダルティックな字面よりも、其処に書かれていた文字が何よりもザッフィーの胸には突き刺さった。
一夜の過ち・・・あぁ、確かにその通りだ。
思えば、あの時主の命とは言え銀時に酒を奢った時に過ちは起こったのだろう。
嫌、もっと言えば新八の家に忍び込んだ事がそもそも過ちと言えるのかも知れない。
そして、そのツケが今こうして自分の置かれている現状なのだと・・・
ゾクリッ!! 背筋から不気味な気配が感じる。
彼の本能が入り口を見る事を拒む中、彼の理性はそれを了承し、入り口から出て来るそれを見入った。
「・・・・・・・・・」
出て来た時、彼女は無言だった。急いで支度したのだろう、その身には下着しか身に着けていない。だが、今の彼に彼女のその姿を見る余裕は欠片もない。
まるで、外道を見るような冷めた視線でこちらを見る彼女のその威圧に、ザッフィーはもし、もし生きて再び主はやてに会えるのであれば、その時はもう二度とこんな過ちは犯すまいと、心の内にそう誓ったのだと言う。
「死ねやぁぁ、この淫獣がああぁぁぁぁ―――!!!」
「ぐわああぁぁぁぁ―
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