第85話 後始末は自分の手でつけるのが世の中の鉄則 その5
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ベッドを揺らさず静かに其処から抜け出し、物音一つ立てずに其処から離れる。
幸い身に着けていた一式は綺麗にテーブル上に取り揃えられていた。
ザッフィーは思わずホッとした。どうやら衣服一式を探して部屋中を漁り回る事態にはならなくて済んだようだ。
とりあえず何時までも真っ裸では不味いと、急いで下着のパンツを履く。
その後に続いて衣服を身に着けようとしたザッフィーの手が何故かそこで止まった。
彼の衣服のすぐ隣には、ベッドで静かに眠っているであろうアルフが身に着けていた衣服一式が綺麗に畳んで置かれていたのだ。
しかも、何故か下着が一番上に置かれている状態で―――
「・・・・・・」
この時、後にザッフィーは「あの時、自分は何であんな行動を取っ手しまったのか、自分でも未だに理解が出来ません」と会見で意見をすることになる。
ザッフィーは、思いもよらぬ行動をとってしまった。
アルフの衣服の一番上に置かれているであろうそれを己が手で摘まみ上げてしまったのだ。
淡いピンク色の生地に素肌に優しい素材で作られた利便性を考慮しつつ見た目などをに気を付けて作られたそれを、彼は手に取って眺めていた。
(これは・・・主が普段身に着けているのとはまた違った柄だが、女子とは皆同じ形のを身に着けているのだな)
この時、ザッフィーは己の置かれている状況を一時的にだが忘却してしまい、それをただ眺めてしまっていた。
摘まんでいる手からも感じ取れる肌に優しい生地の触り心地。そして、鼻に漂って来る何とも言えぬ雌の香り。
いかん、この香りは危険な香りだ。雄の本能に揺さぶりを掛け、かつ理性を削ぎ落す危険なそれだ。
己自身にそう言い聞かせ、ザッフィーは己の中の本能と必死に格闘していた。
己の中にある雄の本能と騎士としての理性。それらが渦を巻きとぐろを巻いて天を穿つ螺旋の頂きに到達しようとしている。
気が付けば、さっきまで摘まんでいたと思っていたその手は力強くそれを握っていた。
良かった、どうやら俺は己の本能に打ち勝ち、理性を取り戻したようだ。
危なかった。危うく本能の赴くままに牙を剥くところだった。
深い、とても深いため息を吐き出し、脱力した体全身に酸素を送り込む。
ふと、安堵したザッフィーはそんな状態のままでベッドの方を向いて見た。
ベッドの上では、既に目を覚まして半身起き上がっていたアルフがこちらを凝視していた。
余りにも信じられない光景だったのだろうか、彼女の肩が小刻みに震えているのが見える。
どうやら、目が覚めた際に自身が裸だと言う事に気づいたらしく、シーツで己の体をガードしているのだろうが、それがまた何と言うか、何処となくアダルトな雰囲気を醸し出している。
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