第十二幕その十二
[8]前話
「いいわね」
「動物園の日笠さんのところに行って」
「そしてよ」
まさにというのです。
「お土産を直接渡すのよ」
「僕の手でだね」
「これでさらによくなるから」
「よくなるって何が?」
「そのうちわかるわよ、全く兄さんは昔からこうなんだから」
プリプリと怒って言うサラでした。
「私も苦労するわ」
「病院が動物の皆ばかりで人の患者さんが来なくてね」
「そっちの苦労じゃないの」
「じゃあどういう苦労かな」
「それがわから駄目なのよ」
先生はというのです。
「本当にね、とにかくね」
「学校に行くとだね」
「まず日笠さんによ」
「お土産をだね」
「直接届けるのよ」
「それじゃあそうするね」
先生は全くわからないままサラに頷きました、そのうえでサラの分のお土産を手渡してそうして言いました。
「これはサラの分だよ」
「あっ、有り難う」
自分のお土産には笑顔になったサラでした。
「頂くわね」
「お菓子もあるし他のもあるよ」
「そうなのね」
「梅干しもあるからね」
「あのすっぱいお漬けものね」
「楽しんでね」
「ええ、ただ梅干しはイギリスではね」
どうにもと返すサラでした、微妙なお顔になって。
「食べるのが難しいわね」
「ははは、イギリスのお料理には合わないからね」
「けれど和食を食べる時もあるし」
「お家でそれを食べる時にでもね」
「頂くわね」
「そうしてね、ご主人と子供達と一緒にね」
笑顔で言う先生でした、そうして朝御飯を食べてまずは日笠さんのところに行くのでした。
ドリトル先生と和歌山の海と山 完
2018・1・11
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