第十二話 試み
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習の成績最優秀者に間宮アイス券を進呈します。演習が終わり次第、成績を確認してその方を何らかの方法で呼び出すから来るよ―――」
「ま、待てよ!!」
凰香の声を遮ったのは天龍であった。先ほどの涼しげな顔から一変、真っ赤になりながら噛み付かんばかりに睨み付けてくる。
「え、演習は各艦娘の正確な練度を確かめて向上させていくものだ!!さっきの演習、あれは本気の半分も出してねぇから正確な成績じゃねぇ!!俺の練度ならもっとすげえ成績を叩きだしてやる!!だから……だからもう一回演習をさせろ!!な!!良いだろ!!」
真っ赤な顔を上げながらそんなことをのたまう天龍。大方、さっきの成績で一番になるのは不可能と判断して、もう一回演習をして一番を狙いに行く算段だろう。
「それに関しては、手を抜いたあなたが悪い。今後の教訓にすることです」
「で、でも!!」
「でももなにもありません。それに、あなたには昨日渡したばかりでしょう。少しは自重してください」
最後の一言が効いたのか、天龍は押し黙る。正確に言えばその言葉に周りの艦娘がどういうことなのかと天龍を問い詰めてくるから突っかかれなくなっているだけである。まあ自業自得なので気にすることはない。
「提督ぅ。昨日食べたアイスでお腹を壊したから部屋に帰るわねぇ〜」
「それは大変です。ゆっくり休んで体調を治してください」
「な!?龍田てめぇ!?一人だけ逃げんなーーー」
「逃がしませんよ天龍さん!!先ほどの提督の言葉はどういうことですか!!」
クスクスと笑いながら龍田がそう言ってきて、凰香と時雨の横をスルリと抜ける。裏切られた天龍は龍田の後を追おうとするが、周りを他の艦娘たちにがっちり固められているため動けず、一人走り去っていく相方を恨みがまし気に見つめることしか出来ないようだ。
「伝えることは伝えたし、私達も行きましょうか」
防空棲姫がそう言ってくる。
それに小さく頷いた凰香と時雨はそっとその場から離れる。
「提督……あなたはまさか……」
天龍と他の艦娘がギャーギャーと騒ぐテントを抜け出すと、驚いたような表情の大淀が出迎えてくれた。
「すみません大淀さん、次は模擬戦闘組の待機所まで案内してもらえますか?」
「わ、わかりました」
凰香がそう言うと、大淀がハッとしてそう言ってくる。そしてくるりと背後を向いて歩き出した。どうやら連れていってくれるようだ。
「……凰香、大淀の今の言葉って」
大淀の後をついていく中、時雨が小声でそう言ってくる。
「……さてね」
しかし凰香は興味なさそうに時雨に返すのだった。
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