第十二話 試み
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「はあ、構いませんが……」
怪しみながらも大淀が案内してくれる。
「こちらです」
なおも訝しげな顔の大淀に案内され、見張り台からスコアアタックが行われている艦娘が待機している簡易テントにたどり着いた。中には演習が終わったもの、これからのものでごった返している。
「どうも、天龍さん」
その中で唯一の顔見知りである天龍と龍田を見つけ、さっそく声をかける。今まで楽しそうに会話をしていた二人は凰香達の方を振り向くと、同時にその表情をしかめっ面に変えた。相変わらず歓迎されていないようである。
「……なんでここにいるんだ?金剛の話では見張り台から見てるんじゃなかったのかよ」
「何処で見ようが私の勝手です」
天龍の言葉に凰香はそう返す。どうやら金剛は勝手に言いふらしていたようだ。そしてそのことから見張り台にいることを演習に参加している艦娘達は知っているということになる。仮にとある艦娘の手元が狂って見張り台を砲撃してしまう、ということもなきにしもあらず。
まあ、そう簡単に砲撃されるつもりは微塵もないが。
「まぁ、こうして自分からノコノコ来てくれたからいいか。見張り台を砲撃する手間も省けたってわけだし」
そんなことを言いながら、天龍は薄笑いを浮かべて近づいてくる。どうやら砲撃する気満々だったようだ。
ダァン!!と、凰香の顔のすぐ横の壁に彼女の腕がたたきつけられる。割と強かったためか、発せられた音によって周りで騒いでいた艦娘達の視線が一斉に集まる。
「んで?なんでてめぇはわざわざこんなところに来やがった?これの錆にでもなりに来たのか?」
凄みを聞かせた声と鋭い目つきを向け、携える刀を口元に持っていってその先をペロリと舐める。
厨二病全開のしぐさが、その表情、短い黒髪に武骨な眼帯、切れ長の目つきなど、本来彼女が持つ容姿も合い余ってなかなかに様になっているが、凰香にとってはどうでもいいことこの上ない。しかもその程度の艤装で傷つけられるほど凰香の身体はやわではない。
しかし、こうして周りの目を集められたのはありがたい。
「そんなことではありません。思いついたことがあって来ただけです」
そう言って、天龍の腕をスルリと抜けて他の艦娘たちの視線の中を歩く。凰香の反応が面白くなかったのか、天龍はつまらなさそうに頭を掻き、近づいてきた龍田ともども凰香達を訝しげな目で見てくる。
そんな友好的ではない視線にさらされながら歩き、ステージのような場所を見つけてそこに上がる。上がって改めて艦娘達を見回すと、予想通りといっていいか見渡す限りの彼女達の顔には訝しげな表情が浮かんでいた。いきなり凰香が現れて、勝手に注目を集めているので、
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