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空に星が輝く様に
167部分:第十三話 家へその一
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第十三話 家へその一

               第十三話 家へ
「んっ、何だ?」
「何かあったのか?」
 陽太郎は部活の休憩中少しぼやいた。ランニングをしてだ。その後の休憩の時に呟いたのだ。夏もしっかり走る、そんな部活であった。
「急に言葉出してよ」
「どうしたんだよ」
「あっ、いや」
 周りに突っ込まれてだ。すぐに言葉を返す彼だった。夏の暑い日差しを防ぐ為にそれぞれ帽子を被っている。そのうえでのやり取りだった。
「何でもないけれどさ」
「何だよ、ただの独り言かよ」
「それか」
「ちょっと今やってるゲームで悩んででさ」
 こう言って誤魔化すのだった。
「それでなんだよ」
「ああ、何やってんだ?」
「ネトゲでもやってるのか?」
「いや、ウィルのな」
 そっちだというのだ。これは本当のことだ。
「そっちで今攻略本読んでやってるんだけれどな」
「それでも難しいゲームか」
「本読んでもか」
「ネットでも情報検索してるけれどな」
 それでもだというのである。
「でもな。難しいよな」
「別にラスボスが勝てない訳じゃないだろ」
「ゲーニッツみたいな」
 キングオブファイターズのラスボスである。そのあまりもの強さで伝説にもなっている。そんな恐ろしいキャラクターであった。勝つのは至難の技だった。
「そういうのじゃないだろ」
「あそこまで強いとか難しいとかじゃないだろ」
「まあそこまではな」
 こんな話をしてだ。そのうえで誤魔化した。実際に彼は月美のことを考えていたのだ。彼女の家に行くそのことをである。
「本当に何があるんだ?」
 また言う彼だった。
「一体」
 そんなことを考えているうちに時間は過ぎていく。しかしだ。
 遂にその時が来た。時間は確実に過ぎる。それによってだ。
 それでその日は月美に最寄の駅に招かれた。まずはそこだった。
 静かな駅だった。広いがそれでいて気品がある。駅前もそんな感じだった。海が遠くに見える静かな、神戸の高級住宅街であった。
 月美は陽太郎をまずそこに呼んだ。白いワンピースでそこにいた。
「今来られたところですか?」
「あっ、うん」
 陽太郎はその高級住宅街を見回していた。そして月美がお嬢様であるという噂を思い出していた。それが事実だと内心確かめてもいた。
「そうなんだけれど」
「何か?」
「いや、何でもないよ」
 彼女に対しても誤魔化す形になっていた。
「たださ」
「ただ?」
「ここって」
「町がですか?」
「凄い場所だよね」
 まだ辺りを見回してそのうえで言うのだった。
「まさにあれじゃない。高級住宅街でさ」
「はあ」
「セレブっていうか。俺この言葉好きじゃないけれど」
 前置きもしての言葉だった。
「いや、凄い場所だ
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